▲イギリスのパラ馬術選手・リー・ピアソンさんと
昨年末から新しく部班練習に取り組んでいる常石さん。グループの仲間との意見交換、コーチからのアドバイス、そしてパラ馬術選手・リー・ピアソンさんからの言葉を胸に日々前進です!
1月22日に行われた東海S。見事勝利したプロミストウォリア号! バウルジャン・ムルザバエフ騎手、野中厩舎の皆様おめでとうございます! 野中厩舎といえばインティ号。2019年の東海S、フェブラリーSと完勝。とってもスピードのある脚で力強さを感じた馬でした。
ムルザバエフ騎手も大活躍でしたね。昨年12月28日に行われたホープフルSを制覇し、2023年も好調でした。2016年にドイツに移籍し、2019年から4年連続リーディングジョッキーに。2022年には独ダービー、バイエルン大賞を制すなど大活躍。ヨーロッパ系の騎手特有の、ズブい馬を動かすのが上手い感じがします。
僕がドイツへ乗馬の大会に行った時、僕の愛馬を預けている厩舎へ行くと、朝から幼い子どもが厩舎仕事や馬に騎乗していました。厩舎に迎えにきたスクールバスで学校へ行き、スクールバスで厩舎に帰ってきて、また乗馬や厩舎仕事をする。そんな日常生活を送っているのに驚きました。馬に乗るのが生活の一部なんですよね。体で覚え、体の一部になっていて、自然な流れで騎乗する姿に見とれてしまいました。
先月も書きましたが、現在、部班練習をしています。僕が騎乗している馬は競技馬で、力強くしっかり動けるので部班練習の他馬との差が出てしまいます。その動きを調整するのがとっても難しく、コーチから「馬の反動に合わせて騎座を安定させること。馬をもっと自由に動かせないと大会でも失敗が多くなるよ」と注意されます。
部班練習では一番大切な、チームワークを大切にしていきたいと思います。他のメンバーにも迷惑をかけ、情けないです。
「何年馬に乗ってるの?」と母からも忠告。でもなー、馬って毎日表情が変わるから難しいねんで。頑張る。
▲ストレッチも欠かさずに!
コーチのアドバイスを聞き、いろいろ試して部班練習を楽しみたいと思います。グループでレッスンをするとより達成感がありますね。レッスン後に馬の手入れをするときなど、グループの仲間と「駆歩の時は勢いがいいから負けるわ」「あのときの乗り方は…」などと反省したり、意見交換もできます。他の馬に迷惑かけないように真剣になるし、緊張もでっかいです。
コーチからの名言「馬の伸びる原理と馬を追う形と、それを支えるライダーの身体がしっかり安定していると、視点がずれずに騎座が安定するので馬の故障が少なくなる」
馬の上で人がグラグラ揺れると馬の故障につながる。手綱をひと拳短く持って馬をコントロールすると変化があると思う。
同じ事をパラリンピック馬術のイギリスの名手、リー・ピアソンさんに言われたことがあります。5大会連続金メダリスト。世界選手権などを含めて30個以上の金メダルを手にしている偉大なライダーです。2017年に全日本パラ馬術大会・全国障がい者馬術大会の招待選手でデモンストレーションを披露してくれました。
▲リー・ピアソンさん
その時僕の乗馬の様子を見て「君は気の毒だな。バランスが悪い。なぜなら左手と左足に麻痺があるから、馬の背中から右に寄ってしまって、バランスを保つのが難しいでしょ。僕は右手と左足だからバランスが取れ安定した騎座が取れる。自分自身の弱いところをもっとよく知り、強くすること」と教えてくれました。
少しずつですが、“左”を使うようにしています。歩くときも気が付けば左手が動いていない。両手をしっかり振って歩く。マラソンの時も左手を構える等気を付けるようにしていますが、うっかり忘れることが多いです。
▲今はブーツを履くのも一苦労
半側空間無視で左の視野も狭いので、先日石野先生(理学療法士)からまっすぐ真ん中を見る訓練をするようにと指導していただきました。これまで左にあるものを見落としてしまっていましたが、意識して真ん中を見るようにしています。
▲石野先生からの指導
乗馬だけではなく、普段の生活の中で習慣になっていくことが乗馬につながると感じる。課題は山積みだが、挑戦することも楽しみになる。
偉大なるオリンピアンと、次はパリで会えるように…。
今月末にはお世話になった先生方が引退されます。栗東は五十嵐忠男調教師、池添兼雄調教師、橋田満調教師、南井克巳調教師の4名。僕にいろいろ教えてくださりありがとうございました。またお会いできたときには、いろんなお話を聞かせてください。
オカン 部班という新しいレッスンにチャレンジしていますが、個人レッスンと違い、人と合わせるという大きな課題に取り組んでいます。意見交流などを楽しむこともでき、ウキウキしている様子がよくわかります。
リー・ピアソンさんとの出会いはとてもいい刺激になっています。ドイツの大会でも挨拶することができ、こういう出会いも乗馬の醍醐味ですね。障がい者馬術をされながら、健常者と同じかそれ以上に活躍され、馬術を愛する方です。10代の頃から馬に乗っていて、僕の馬は、F1カーを運転するようなものだと仰っていました。「僕は馬の動きに合わせて呼吸をしている。たくましく強くなれるように訓練し、馬とダンスをリズミカルに踊れるのが楽しい!」と話されたことが印象深かったです。
『馬の動きにあわせて呼吸』とっても大事なことですね。これを聞いたとき、ハっと息をのみました。私自身、息子の動きに合わせて呼吸しているだろうか? 自問自答の日々です。あなたは、あなたの呼吸に合わせて馬を動かそうとしていませんか? 馬と向き合って呼吸してほしいなあ(母の独り言)。
息子よ! たくましく強く、馬とリズミカルにダンスができるようになるまで挑戦だよ。
最後に、お世話になった調教師の先生方。どうぞご自愛ください。息子の無駄話にお付き合いいただき、ありがとうございました。
つねかつこと常石勝義&おかん
(文中敬称略、次回の更新は3/1(水)を予定しています)