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【東京新聞杯予想】人気馬苦戦の傾向も、実は意外な出世レース。その正当な解法とは/岡村信将

  • 2023年02月03日(金) 18時00分

逃げた経験のあるウインカーネリアンはマイナス材料か?(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規


 真冬の東京、名物レースとなっている東京新聞杯。芝GI谷間の2月という時期に、難しい斤量での別定戦。15%にも満たない1番人気の勝率、10%にも満たない2番人気の勝率を見ても(2001年以降)、どちらかと言うとハンデ戦に近いレースなのではないかというイメージはあります。

 しかし古くはハットトリック、スズカフェニックス、ローレルゲレイロといった辺りから、近年でもリスグラシューにインディチャンプなど、ここでの勝利を足掛かりにその後大活躍を見せることになった馬も少なくはありません。

 改めて調べてみると1986年以降の過去37年で9頭、つまりは東京新聞杯勝ち馬の4頭に1頭が、その後にGIレースを勝っているのです。これは数あるJRA古馬重賞の中でも、有数の出世レースではないかと思われるところ。

 そういった東京新聞杯を考える上で、まず最初に注目すべきは"逃げ経験の有無"でしょう。前走に限らず、デビュー戦から1度でも逃げたことのある馬は割り引いて考えたほうが良いのではないかというデータです。

■東京新聞杯、逃げた経験の有無別 成績
あり150戦【 7- 7- 9-127】勝率 5% 単勝回収 44%
なし176戦【15-15-13-133】勝率 8% 単勝回収106%
合計326戦【22-22-22-260】勝率 7% 単勝回収 80%
※2001年以降、JRA限定。

 ここで言う逃げ馬とは"4コーナー先頭"ではなく"最初のコーナーを先頭で通過した馬"。近年では2016年スマートレイアーと2017年ブラックスピネルが2年連続で逃げ切り勝ちを収めている東京新聞杯ですが、その両馬にしても該当年の東京新聞杯以前に逃げた経験は一度もありませんでした。

 前へ行こうとする姿勢は小回りの競馬場では大きな武器にもなるのですが、この東京新聞杯に限ってはむしろマイナス材料。今年の出走予定馬で、逃げた経験のあるウインカーネリアン、カイザーミノル、シュリ、ショウナンマグマ、タイムトゥヘヴンとファルコニアの6頭は少し割り引いて考えるべきかと思います。

 闇雲にデータだけを見るのではなく、まずは仮説を立て、そこから裏付けとしてのデータ・リサーチ。ウマい馬券では、ここから更に踏み込んで東京新聞杯を解析していきます。印の列挙ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論にぜひご注目ください。



■プロフィール
岡村信将(おかむらのぶゆき)
 山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、『ラップギア』と『瞬発指数』を構築し、発表。2008年、単行本『タイム理論の新革命・ラップギア』の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。

 1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。『ラップギア』は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。

高回収率をたたき出す馬券のプロたちは、どのような視点で重賞レースにアプローチをしているのか。ときに冷静に、ときに大胆に直球勝負で攻める予想家たちの熱き見解は必見。 関連サイト:ウマい馬券

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