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【きさらぎ賞】再び最大の路線重賞となるか

  • 2023年02月06日(月) 18時00分

大きく変化したクラシック路線


重賞レース回顧

フリームファクシが優勝(C)netkeiba.com


 3歳牡馬のクラシックを展望するスケジュールは大きく変化した。近年は2月の「共同通信杯」をステップにしてレース間隔を空けた「2012年ゴールドシップ、2014年イスラボニータ、2015年ドゥラメンテ、2016年ディーマジェスティ、2021年エフフォーリア、2022年ジオグリフ」が次つぎに皐月賞を制し、断然の主流になっている。

 また、12月の「ホープフルS」から直行した「2019年サートゥルナーリア、2020年コントレイル」も皐月賞を勝っている。

 当然、今年も今週2月12日の「共同通信杯」の結果に大きく注目し、ホープフルS組の動向にも注意を払いたいが、ちょっと前までクラシックの最大の路線重賞だった「きさらぎ賞」の評価が再び高まる可能性が生じた。

 きさらぎ賞は共同通信杯とまったく同じ時期であり、今年も京都の1800mではなく、中京の2000m(距離は皐月賞と同じ、左回りは日本ダービーと同じ)で行われた。

 きさらぎ賞組は最近10年こそ、2017年の3着馬ダンビュライトが皐月賞3着、2016年の勝ち馬サトノダイヤモンドが直行した皐月賞を3着しているだけで、皐月賞の重要なステップの位置を譲っていた。

 だがそれ以前は、ネオユニヴァース、ナリタトップロード、スペシャルウィーク、オルフェーヴル、ウインバリアシオン、リーチザクラウン、スマイルジャック、アサクサキングス、ドリームパスポート、メイショウサムソン…などが出走し、のちのクラシックともっとも関連の深いレースだった。

 今年の勝ち馬フリームファクシ(父ルーラーシップ)はもう4戦しているだけに、皐月賞に直行の可能性が高い。2着に惜敗したオープンファイア(父ディープインパクト)は、獲得賞金からもう一戦すると思えるが、今年のきさらぎ賞は12日の共同通信杯と同じような位置に立ったと考えたい。

 レースの中身は、前後半「61秒2-58秒5」=1分59秒7(レース上がり34秒3)。前半がスローだったこと、連続12日間開催の最終日とあって速い時計ではないが、最後にマッチレースとなった2頭には迫力のスケールがあった。

 フリームファクシは、1コーナーで他馬と接触しかかるとクビを振って、そのあと口を割って行きたがる素振り。未勝利勝ちの2000mも、2勝目の2000mでも前半は口を割って行きたがっていた。今回は少しペースの上がった3コーナーあたりで折り合い、自分のリズムになった。そこでオープンファイアの追撃をアタマ差封じることができたが、課題は多頭数での折り合いだろう。

 秋華賞などを制した半姉ディアドラ(父ハービンジャー)はちょっとズブい印象さえあった。気負いがちな気性は解消できると思える。いとこにあたるロジユニヴァース(父ネオユニヴァース)は2009年の日本ダービー馬。またまた金子オーナーの日本ダービー制覇…がないとはいえない。

 逆に、超スローの新馬戦でも前半から気合の入れ通し。2戦目のアイビーSでも前半はうながしながらの追走になっていたオープンファイアは、今回はスムーズなスタートで、フリームファクシを目標に追い込むレースができた。

 牝馬のライトクオンタムは小柄だが、同じディープインパクトの最終世代のこちらは500キロに達する迫力型。牝系に距離不安はなく、このあとさらに鋭さを増すだろう。「成長して本物になれば、2400mくらいが一番いいと思う(ムルザバエフ騎手)」。

 3着クールミラボー(父ドレフォン)は初の芝とあって、上位2頭から3馬身離されたが、上がり34秒4で最後まで伸びている。母の父キングカメハメハ、祖母の父サンデーサイレンスは、ドレフォンの代表産駒ジオグリフ、デシエルトと同じだ。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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