先週の血統ピックアップ
・2/12 共同通信杯(GIII・東京・芝1800m)
2番手につけたファントムシーフが直線でタッチウッドを交わし、初の重賞タイトルを手にしました。前走のホープフルSはスタートで出負けした上に、前が残るペースになったことも災いして4着。今回、東京コースをこなしたことで、ダービー戦線に名乗りを上げました。
クラシックを迎える前に芝中距離の重賞を勝ったハービンジャー産駒の牡馬は、2018年の毎日杯を制したブラストワンピース以来です。
2代母プロミシングリードはアイルランドのG1プリティポリーS(芝10ハロン)を勝った名牝で、同馬は名種牡馬ダンシリと100%同血の関係にあります(父が同じで母同士が全姉妹)。ダンシリはハービンジャーの父ですから、本馬は「ダンシリ≒プロミシングリード2×2」という強度の同血クロスを持ちます。わが国の重賞勝ち馬としてはエルコンドルパサー以来ともいえる凄まじい配合馬です。
生産した谷川牧場は浦河の名門で、古くはタケホープ、ミナガワマンナ、最近ではナムラクレアやブレークアップといった活躍馬を出しています。この配合は狙いすました一撃でしょう。大物の相があります。
・2/11 クイーンC(GIII・東京・芝1600m)
中団を追走したハーパーが直線で馬群を割って伸び、ドゥアイズ、モリアーナに競り勝ちました。JBCレディスクラシックを制したヴァレーデラルナ(父ドゥラメンテ)の半妹で、母セレスタはアルゼンチンの2歳牝馬チャンピオン決定戦であるエストレージャスジュヴェナイルフィリーズ(亜G1・芝1600m)の勝ち馬です。母の父ジャンプスタートはシアトルスルーの孫ですが、母方にシアトルスルーを持つハーツクライ産駒は、スワーヴリチャード、ドウデュース、ダノンベルーガなど多くの重賞勝ち馬が出ている成功パターンです。
ハーツクライ産駒のクイーンC制覇は2017年のアドマイヤミヤビに次いで2頭目。いずれも友道康夫厩舎の所属馬です。アドマイヤミヤビはその後オークスで3着となりましたが、ハーパーは桜花賞のほうが向きそうです。
今週の血統注目馬は?
・2/18 フリージア賞(3歳1勝クラス・東京・芝2000m)
東京芝2000mと相性のいい種牡馬はモーリス。連対率40.5%は、2013年以降、当コースで産駒が20走以上した51頭の種牡馬のなかで第1位。当レースにはアップトゥミーが登録しています。昨年秋に未勝利戦を勝ち上がり、今回が昇級緒戦。牡馬相手、初距離と、越えなければならないハードルはありますが、ユーキャンスマイルとルビーカサブランカの半妹にあたる良血。通用するほうに賭けたいと思います。
今週の血統Tips
フェブラリーSの登録馬を眺めると、ヘニーヒューズ産駒とオルフェーヴル産駒が3頭ずつリストに入っているのが目に付きます。ヘニーヒューズは2年連続で全日本ダート種牡馬ランキング(中央ダート+地方)の頂点に立つ砂の名種牡馬ですから不思議はありませんが、オルフェーヴルは周知のとおり三冠を達成した芝の活躍馬。ただ、ここにきてダート向きの適性がクローズアップされています。種牡馬入りした当時、これほどまでにダート巧者を送り出すとは予想できませんでした。
オルフェーヴル産駒はJRAで芝260勝、ダート190勝という成績。芝とダートの割合は約6対4ですが、勝率、連対率、複勝率ともダートが芝を上回っています。2年目の産駒からマルシュロレーヌ、ジャスティン、ヘリオスを、3年目の産駒からウシュバテソーロ、ショウナンナデシコ、ギルデッドミラーを出しています。東京大賞典、川崎記念を連勝したウシュバテソーロは、ダート中距離路線で頂点に立ち、この春はドバイワールドCに挑戦する予定です。フェブラリーSに登録のあるギルデッドミラーは骨折のため出走できませんが、残る2頭、ショウナンナデシコとヘリオスは一発の魅力を秘めています。
オルフェーヴル産駒はまずは芝でデビューし、その路線でいったん頭打ちになってからダートに転向するケースが目立ちます。たとえばウシュバテソーロやギルデッドミラーが路線変更を試みたのは5歳時でした。適性を見抜く難しさは理解できますが、もっと早くに鞍替えしていれば……というもったいなさを感じないわけではありません。芝の条件クラスでくすぶっているオルフェーヴル産駒のなかには、ダートで大成する馬がまだまだ眠っているかもしれません。