▲調教師としてジョッキーに求めることとは(撮影:桂伸也)
今日、3月1日からは調教師となる福永祐一調教師。これまではジョッキーとして騎乗依頼を受ける側でしたが、今度は依頼する側へ。新たな視点で今後の競馬界の課題や、乗り替わりが多い今の時代のジョッキーに求める姿勢について、佑介騎手と話します。
さらに1年後の厩舎開業へ向け、福永調教師が思い描く理想の“福永厩舎”についても語ってくれました。
(取材・構成=不破由妃子)
27年間、これだけは貫いたという馬に対する姿勢
佑介 今後は、僕らジョッキーを起用する立場になるわけですが、こういうジョッキーに出てきてほしいとか、もっとこういう方向に進んで行ってほしいとか、調教師目線で思うところはありますか?
祐一 やっぱり、今の競馬界にとって必要なのは、スタージョッキーの出現だと思う。(武)豊さん以降、出てきていないからね。豊さんを超えるのは難しいと思うけど、豊さんに匹敵するくらいのスタージョッキーの存在は、これからの競馬界にとって絶対に必須。でもねぇ、そればっかりは、頑張ったらなれるという類のものではないからなぁ。
佑介 そうですよね。人間性だったり、もともと兼ね備えている華だったり…。実際、豊さん以降、35年以上出てきていないわけで。
祐一 そうやね。あと、日本人ジョッキーに限らずだけど、競馬、そして馬に対して、誠実なジョッキーがもっと増えてくれたらうれしいなって。その点、俺が好きなのは、やっぱりライアン(・ムーア騎手)。競馬に対する姿勢、競走馬に対する姿勢が、彼は素晴らしいと思うから。結局のところ、騎手に求められるのは技術であり、依頼が少なくなったり、ほかのジョッキーに乗り替わるというのは、そういうことやからね。そうなったときに、「自分の技術が至らなかった」と受け止められるかどうか。そう受け止められなければ進歩はないし、俺はそうやってここまでやってきた。で、そこでもうひとつ大事になってくるのは、そういう姿勢をちゃんと評価してくれる人がいること。
──そこから先は、見る側のレベルや誠実さも問われてくるということですね。
祐一 うん。外国人ジョッキーといっても千差万別で、誰もが上手なわけではない。もちろん