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【弥生賞予想】試走であるがゆえの特徴。それを意識することで大きな差が!?/岡村信将

  • 2023年03月03日(金) 18時00分

弥生賞は伝統的に先行馬有利の傾向(c)netkeiba.com、撮影:下野雄規


 過去には“王道路線”と言われていた弥生賞。2歳の年末時点で世代最強と目される馬はこのレースから始動し、皐月賞を経てダービーに向かうべきだと、競馬ファンはもちろん、多くの競馬関係者もそう考えていたはずです。弥生賞の1番人気馬から、クラシック戦線の中心を担う王者としてのプライドが垣間見えていた時代の話です。

 しかしながら調教技術の進歩により“レースを使いながらの調整”、“本番前のひと叩き”といった概念が薄れてきた近年、トライアルを使わずに皐月賞やダービーに直行するトップホースが増えてきたことは覆い隠せぬ事実でしょう。“弥生賞勝ち馬”の皐月賞制覇や“弥生賞1番人気馬”の皐月賞制覇はもちろん、“弥生賞に出走した馬”の皐月賞制覇でさえも、2010年のヴィクトワールピサ以来12年間途絶えている状態です。

 ただ、そういった出走馬レベルの低下が懸念されたのも束の間、ここ2年はタイトルホルダー、シュネルマイスター、アスクビクターモアにドウデュースといった“のちのGI馬”を輩出。“土曜2重賞”に対しての“日曜1重賞”はGIにも匹敵する取り扱いであり、そんなGIIはほかにひとつたりとも存在しません。弥生賞の格式はいまだ健在なのです。

 そういった格調の高さからハイレベルなレースだと思われていた弥生賞なのですが、実は20年以上前の昔から、レース自体のレベルはそんなに高いものではありませんでした。同コース重賞、(GIになる以前の)ホープフルSや京成杯と同等、もしくは若干劣ると言ってしまっても良いかもしれません。

 少頭数のトライアル、本番に向けて疲労を残したくないという心理も働くためでしょう。非常にユッタリとしたペースから、上がりも大して速くはない、直線でもギリギリのシビアな仕掛けは控えるようなレースが多く見られていました。つまり弥生賞は伝統的に先行馬有利の傾向、いやそれよりも差し馬不利の傾向と言うべきでしょうか。

■弥生賞出走馬の前走位置取り別成績
前走4角4番手以内 115戦【12-11- 9-83】勝率10% 単回収97% 複回収87%
前走4角5番手以下 133戦【10-11-13-99】勝率 8% 単回収42% 複回収62%
※JRAのみ。2001年〜2022年

 元来、弥生賞はGI級であってほしいという期待から“末脚で勝負する馬”に人気が集まる傾向にあり、それがゆえに期待値的には明白な差が出ています。前走4角5番手以下のグループは、2013年に単勝19.8倍で勝利したカミノタサハラ(前走4角7番手)を擁しても、それでもトータルで41%の低回収率なのです。

 今年の弥生賞登録馬で“前走の4角位置”が5番手以下だったのはアームブランシュ、グランヴィノスとタスティエーラの3頭だけなのですが、3頭のうち2頭がかなりの人気を集めそうな馬である辺り(※グランヴィノスは出走予定を回避しました。)、これは今年も意識しておくべきデータでしょう。

 闇雲にデータだけを見るのではなく、まずは仮説を立て、そこから裏付けとしてのデータ・リサーチ。ウマい馬券では、ここから更に踏み込んで弥生賞を解析していきます。印の列挙ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論にぜひご注目ください。



■プロフィール
岡村信将(おかむらのぶゆき)
 山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、『ラップギア』と『瞬発指数』を構築し、発表。2008年、単行本『タイム理論の新革命・ラップギア』の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。

 1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。『ラップギア』は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。

高回収率をたたき出す馬券のプロたちは、どのような視点で重賞レースにアプローチをしているのか。ときに冷静に、ときに大胆に直球勝負で攻める予想家たちの熱き見解は必見。 関連サイト:ウマい馬券

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