先週の血統ピックアップ
・3/5 弥生賞ディープインパクト記念(GII・中山・芝2000m)
好位を追走したタスティエーラが残り200mで先頭に立ち、後続の追撃を抑えて初の重賞タイトルを獲得しました。父サトノクラウンは2015年に当レースを勝っているので親仔二代制覇となります。サトノクラウン産駒はこの世代が初年度。タスティエーラが初の重賞勝ち馬となります。
昨年のJRAファーストシーズンサイアーランキングは第5位とまずまずの成績でしたが、昨年12月から今年2月までの3ヵ月間でわずか3勝と、勢いが落ちたことでランクも下がっていました。
タスティエーラの弥生賞制覇により、同期の種牡馬のなかではマインドユアビスケッツ、リアルスティール、デクラレーションオブウォーに次ぐ第4位に浮上しています(昨年6月以降のJRA成績を集計)。
母パルティトゥーラは現役時代に芝1600mで3勝。初仔が重賞勝ち馬となりました。牝祖クラフテイワイフは、その子孫からカンパニーやトーセンジョーダンをはじめ多くの重賞勝ち馬を誕生させていますが、タスティエーラが属するキョウエイフォルテの分枝は、ダートテイストが強かったこともあり影が薄い存在でした。パルティトゥーラを中興の祖として今後はこのラインも盛り上がっていきそうです。
・3/4 チューリップ賞(GII・阪神・芝1600m)
ハナを切ったモズメイメイがマイペースに持ち込み、ゴール前で急追するコナコーストをハナ差抑えました。父リアルインパクトは現役時代に安田記念とオーストラリアのジョージライダーSを制覇し、社台スタリオンステーションで種牡馬入りしましたが、2020年から優駿スタリオンステーションに移動しています。
モズメイメイはラウダシオン(NHKマイルC、京王杯SC)に次いで2頭目のJRA重賞勝ち馬です。ラウダシオンもモズメイメイも、母方にアンブライドルドを持つという共通点があります。
アンブライドルドは父リアルインパクトが抱えるインリアリティとニックスの関係にあります。セオリー通りのニックス配合といえるでしょう。
母の父フランケルはスピードの持続力を伝えるので、そうした強みを活かせる逃げの手に出たのは正解でした。
今週の血統注目馬は?
・3/12 甲南S(3勝クラス・阪神・ダ2000m)
阪神ダ2000mと相性のいい種牡馬はホッコータルマエ。連対率41.7%は、2013年以降、当コースで産駒が20走以上した34頭の種牡馬のなかで第1位。当レースにはジューンアマデウスが登録しています。デビュー以来7戦3勝の4歳馬で、勝ち星のすべてを当コースで挙げており、当コースで4戦して[3-1-0-0]という成績です。今回は昇級緒戦ですが適性が高いだけに勝機はあるでしょう。
今週の血統Tips
キタサンブラック産駒は昨年のJRA2歳戦で11勝。トップのエピファネイアが35勝を挙げているので、その3分の1程度しか勝てませんでした。出走回数を比較するとエピファネイアが236回、キタサンブラックが109回と、倍以上の開きがあります。
キタサンブラック産駒は晩成傾向があり、若駒時代は馬体にゆるさがあるため、早期からどんどんデビューするタイプではありません。初年度産駒も2歳時は13勝しかできませんでした。
しかし、3歳になってから猛然と勝ち始めるのが特長で、現3歳は1月以降に12勝と、わずか2ヵ月ちょっとの間に昨年の2歳戦を上回る勝ち星を挙げています。京成杯を2番人気のソールオリエンスが勝ち、先週のチューリップ賞ではコナコーストが6番人気ながら2着に食い込みました。
この時期の3歳馬はどんどん馬が変わっていくので、過去の対戦成績やタイム比較にとらわれるといいことはありません。3歳春のキタサンブラック産駒は積極的に狙っていきたいところです。