「1強」状態の牝馬クラシック戦線に待ったをかけるか
ゴールデンハインドが優勝(撮影:下野雄規)
東京の芝コースの経験がある馬は2頭だけ。2勝馬は1頭だけ。さらにはここが2戦目の馬が3頭もいる組み合わせで、みんななんとか優先出走権を取りたい一戦とあって、予測された以上のスローペースになった。
それでも勝ちタイムの1分58秒9「前半60秒8-後半58秒1」は、2020年のウインマリリン(デアリングタクトのオークス2着馬)のレースレコード1分58秒7にわずか0秒2差だった。これは史上2位の時計なだけに、例年以上の高速の芝を考慮しても、リバティアイランド「1強」の今年はこのフローラSで権利を得た1-2着馬には要注意だ。
過去10年、2021年のオークスの勝ち馬ユーバーレーベン(父ゴールドシップ)を筆頭に、フローラSを直前のステップにしてオークスで3着以内に快走した馬が「7頭」も存在する。
ユーバーレーベンと同じゴールドシップ産駒のゴールデンハインドは、ふっくら映る芦毛の馬体も、先行脚質なのも異なるが、「フラワーC→フローラS→」のスケジュールはユーバーレーベンと同じ。ファミリーはアメリカ屈指の名門ラトロワンヌ系であり、ウッドマン、リズム、プライヴェートアカウントなどの名種牡馬が並ぶ。
スローの単騎逃げだったとはいえ、後半は58秒1-上がり34-秒1-11秒6。流れが味方するなら2400mでも簡単には失速しないと思える。
2着ソーダズリング(父ハーツクライ)は1番人気に支持されたように、ソーヴァリアント、マジックキャッスル、ソーグリッタリングの下というだけでなく、今回はデキの良さも光っていた。ピタッとマークしていたゴールデンハインドを追い詰められなかったあたりは物足りないが、「いや、まだ完調ではない。本番への手応えがあった(音無調教師)」。陣営は強気なコメントを残した。
以下は、オークス優先出走権は取れなかったが、ここが2戦目のブライトジュエリー(スローで少しかかっていた)が3着。同じく2戦目のドゥムーラン(マイラー体型に映った)が5着。6着がイトカワサクラ(出負けしながら上がり最速タイの33秒4)。キャリアを問わない近年らしく、2戦目でオークスを展望した馬はみんな好走した。それぞれ次走は確勝級であり、秋にはトップグループに追いついているはずだ。
3番人気のイングランドアイズは、外枠があまりにも不運。さらにコースロスがありながら上がり最速タイの33秒4だった。こちらも自己条件の次走は負けられない。
5番人気のクイーンオブソウルは、こなせる距離の幅はかなり広いはずの父マインドユアビスケッツ産駒の中では、適距離はマイルまでか。