“オジュウチョウサン・コース”で掴んだGIタイトル

──遅ればせながら、4月15日に中山グランドジャンプをイロゴトシで優勝、おめでとうございます！

黒岩　ありがとうございます。前走のペガサスジャンプSの雰囲気から、飛越もレースぶりも間違いなく前進はあるだろうと感じていて、あとはスタミナさえ持てば、と思っていました。オジュウチョウサンのような化け物がいたら何とも言えないですけど、今年はメンバーも拮抗していてチャンスがあると思っていました。


──最初の襷コースでポジションを少し上げたのは、インコースを取りに行ったんですか？

黒岩　“オジュウチョウサン・コース”を周りたいと思っていたんです。

──オジュウの主戦・石神深一騎手って、タスキコースで回りが反対に変わっても、必ずインコースを取っていましたよね。

黒岩　石神先輩のコース取りを何回も何回も見ました。息をするようにあのコースを取っていて、上手いですよね。あれをイメージしながら乗っていました。

──勝った瞬間はどんな気持ちでしたか？

黒岩　「勝っちゃったよ」みたいな感じでした(笑)。J・GIは勝った経験がないですし、重賞も去年が初めてでした。積み重ねて、積み重ねて「やった！」というより、「あぁ、勝ってしまった」みたいな感じでした。もちろん勝ちたい気持ちはありましたけど、実感は全然なくて、感情が爆発することはなかったです。

──てっきり、デビュー22年目での悲願達成に大号泣みたいな感じなのかと想像していました。表彰式に向かう道中では生産者の本田土寿さんに走って抱き着いていたようで。

黒岩　自分が、というよりも九州産馬が初めてGIを勝てたことがすごく嬉しかったんです。本田さんも家族で応援に来てくださっていて、「ありがとうございます」という意味でした。

「キタサンブラックの時は…」様々な思いがめぐった表彰台

──振り返ると6年前、キタサンブラックのラストランとなる有馬記念には黒岩騎手はスーツを着て応援に来ていました。同じ中山で、今度は騎手としてGIを勝ちましたね。