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【日本ダービー】史上8頭目の無敗の二冠馬誕生なるか

  • 2023年05月27日(土) 12時00分

2年前に流した涙が勲章に変わるとき――


 ダービーは勲章、競馬に携わる者にとり特別なものだけに、その熱気や緊張感は並大抵ではない。私たちの目はそんな中、騎手に行くことが多くなる。

 今年は、ソールオリエンスの横山武史騎手だ。

 ダービーは過去3回騎乗しているが、2年前のエフフォーリアの2着が思い出される。無敗の皐月賞馬で当日の単勝は1.7倍一番人気だったが、ゴール寸前交わされ、わずか10センチ差の2着に涙をのんだのだった。若き天才が今年こそはと燃えるのは当然だが、今年はその時の情況に似ている。

 ただ異なるのは、今回はこの経験が生きることではないか。さらに言えば、ソールオリエンスの皐月賞は重馬場の中のハイペースで、しかも最内枠で行き脚がつかず後方から大外をついて一気に突き抜けるというはなれ技、差し届かないかと思ったと本人も語っていたが、この壁を越えたことは大きい。3戦目、史上最短での勝利で、しかも1年4か月ぶりのGI勝ち。さらにはキタサンブラック産駒で2400米はいいし、長い直線が勝利に導いてくれると本人も確信しているのではないか。史上8頭目の無敗2冠馬の誕生と考えるのが妥当と思えてならない。

 ダービーは運のいい馬が勝つと言われているが、その運を味方に逆転を狙うものも考えておかなくてはならない。ダービーで騎手と言えば、やはり武豊騎手だ。今年は、昨年のドウデュースに続き2度目の連覇と、ダービー史上最多の7勝目を狙っている。ひと昔前は、ダービーを3勝するのも至難と言われていたのも、10年目のスペシャルウィークで勝ってからあっという間にそれを打ち消していた。

 今年はテン乗りのファントムシーフで臨むが、皐月賞は1番人気で3着だった。それも向正面で落鉄がありながら差を詰めての結果で、東京は共同通信杯を勝ったコースで中京を入れて左回りでは負けていない。さらに言えば、スペシャルウィーク、タニノギムレット、ドウデュースとダービーを勝ったこの3頭は、どれも皐月賞は1番人気で3着だったのも、今年と一緒なのだ。

 テン乗りのダービー制覇は実に69年ぶりになるそうで、それだけ困難なのだが、3週続けて調教に騎乗したことで、ベテランなりにつかむものはあったと思う。どんな馬ならダービー馬の資格があるかを知っているだけに、その心の内を想像してみたい。

 ダービーへのステップから見れば、皐月賞組から2着のタスティエーラを考えなければならないが、今年は青葉賞で大外を一気に突き抜けたスキルヴィングの方に目が行く。現に2400米で連勝していて、そのいずれでも最速の上がりをマークしていることを強調したい。ルメール騎手の手の内に入っていることも大きい。

 したがって今年のダービーは、ソールオリエンスを軸に、スキルヴィング、ファントムシーフが肉薄するというシーンを想定してみたい。

「堂々と 気迫みなぎり 頂点に」

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ラジオたんぱアナウンサー時代は、日本ダービーの実況を16年間担当。また、プロ野球実況中継などスポーツアナとして従事。熱狂的な阪神タイガースファンとしても知られる。

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