テン乗り横山和生騎手の自信にあふれた騎乗
エプソムCを制覇したジャスティンカフェ(撮影:小金井邦祥)
終日ぐずついた天候により、芝の稍重発表は変わらなかったが、メインのエプソムCのころは馬場の外側に回った馬が有利な芝コンディションだった。
人気に応えて快勝したジャスティンカフェ(父エピファネイア)は、テン乗りの横山和生騎手が最初から自信にあふれた騎乗。東京1800mの外枠は有利ではないが、芝状態の変化を読んでいたように、前半は後方馬群の外になりながらも3コーナーまでほとんど動かなかった。4コーナーで馬群を射程に捕らえると、迷うことなく芝のいい一番外へ。
外を回って上がり最速の34秒3。能力通りの結果といえば、1週前の安田記念にも出走意思があり、昨秋の毎日王冠1800mを1分44秒2の接戦に持ち込んでいる馬なのでその通りだが、まったく危なげない完勝は見事だった。
距離経験は1800mまでなので、秋のビッグレース挑戦には2000m級をこなさなければならないが、不安はないと思える。
2着ルージュエヴァイユ(父ジャスタウェイ)の鞍上もテン乗りだった若手の石川裕紀人騎手。勝つことはできなかったが、能力全開の2着だった。1番人気だった前走のメイSでは、多頭数のインでもまれ、最後の直線では追えないほどのロスがあった馬。今回の大外17番は良馬場では不利だったろうが、渋馬場でもまれない枠順でもあり、スタート直後に気合をつけて初めて先行策をとった。これが大正解。最後まで失速しなかった。
2011年の凱旋門賞を2分24秒49の快時計で独走(その前走はドイツの重馬場2400mを2分37秒52。10秒以上も遅い時計で同じように独走)したデインドリームの直仔は、ここまであまり目立たなかったが、孫世代になって高い評価を取り戻している。ルージュエヴァイユはまだ【4-1-0-4】の4歳牝馬。これからさらにパワーアップが望める。
3場開催のため、重賞ながらテン乗りの騎手が8人もいたが、6着以内に入着した出走馬のうち、5人が初コンビだったのは素晴らしいことだった。
単騎逃げも可能と思われたマテンロウスカイ(父モーリス)はそうダッシュ力のある馬ではなく、伏兵ショウナンマグマ、気合を入れて先行策に出たルージュエヴァイユの先行を許す形になってしまった。だが、3番手で折り合い好位のインから抜け出しを図る策に出て3着。もう一歩の伸びを欠いたが、終始馬場の悪くなったインを通らざるを得ない不利があった。これで通算【3-4-4-1】。勝ちみに遅い死角はあるが、自在性を加えた4歳馬。夏から秋にかけての成長が期待できる。
2番人気で7着にとどまったインダストリア(父リオンディーズ)は、決して凡走したわけではなく、マテンロウスカイと同様、終始イン追走の不利に、ライバルより重い58キロが響き最後に鈍ってしまった。行きたがっていた印象もあり、現時点でのベストは3勝している1600mなのだろう。
短期免許の最終週。そのD.レーンJ騎乗もあって3番人気に浮上したレインフロムヘヴン(父ドゥラメンテ)は、3歳時の成績から、今回が3勝クラスを勝っての格上がり初戦とはいえないところもあったが、こういう馬場コンディションは合わないのだろう。いざ追い出しての反応が良くなかった。
着順は別に、エアファンディタ、エアロロノア、ヤマニンサルバムなど、この時期だから仕方がないが、微妙な芝コンディションが味方しなかった馬が複数いた。