▲混迷の2番手以下で魅力のある馬とは?(撮影:桂伸也)
馬から降りて、“調教師”の立場からGI戦線をご覧になっている福永祐一調教師。オークス、ダービー時には、3歳馬の勢力図を解説し、大きな反響をいただきました。今回は、週末に迫る宝塚記念を分析いただきます。
イクイノックスに次ぐ2番手以下が、混迷を極める今年の宝塚記念。後編では、福永師が特に注目している6頭を発表します。条件ベストの馬、自身が最終追い切りに跨った馬、騎手に戻って乗りたい馬、一線級の牡馬にも勝てそうな牝馬…など、それぞれの魅力は?
(取材・構成=不破由妃子)
スタート指導をした鮫島克駿騎手への期待
能力的にも実績的にも、イクイノックスが抜けているのは揺るぎない事実だが、そのぶん2番手以下は混迷を極める今年の宝塚記念。
そんななか、イクイノックスに次ぐ支持を集めそうなのがジャスティンパレス。前走の天皇賞(春)で晴れてGI馬の仲間入りを果たしたわけだが、ポイントとなるのがその前走。「前走天皇賞(春)」は王道のローテとはいえ、一気に1000mも距離が短くなることに加え、前回もゲートでちょっと立ち上がったりするなど、少々難しいところを見せていた。
3200mからのチャレンジとなると、いかにスムーズに流れに乗れるかがポイントになってくるので、まずはいいスタートを切ることが肝心だ。
その点、今回再び手綱を取ることになった鮫島克駿は、好スタートから好位で進むという競馬を得意としているジョッキー。彼も、しっかりスタートを決めて好位で…という競馬を意識しているだろうし、なにより神戸新聞杯、菊花賞と騎乗経験があることも有利に働くはずだ。
▲鮫島駿騎手とのコンビで昨年の神戸新聞杯を快勝したジャスティンパレス(C)netkeiba.com
一時、スタートに悩んでいた克駿に相談されたことがあるのだが、ちょっとしたヒントを与えただけで、目に見えて改善された。ヒントをもらったところで、センスがなければそうはいかない。克駿には、もともとそのセンスがあったということだろう。
▲鮫島駿騎手のスタート技術の裏には福永師の助言が(C)netkeiba.com
ジャスティンパレスは、皐月賞、ダービーともに9着。もちろん、ひと夏を越しての成長もあったと思うが、3歳春の戦績からもスピードに長けたタイプではないというのが自分の印象で、長い距離で頭角を表してきたのも納得だ。
前編で書いたように、自分が宝塚記念に向いていると思うのは、「ダービーでは持ち味を発揮できないような馬」。そう考えると、ジャスティンパレスにとって宝塚記念は、適した舞台なのではないかと思う。
雨が降ればなおよし、武豊騎手に替わるのもプラス
今年の宝塚記念には、現役時代、何度も騎乗経験のある馬がエントリーしているが、なかでも条件的に一番合うだろうなと思うのがジェラルディーナ。
▲福永師が「条件的に一番合うと思う」と話すジェラルディーナ(C)netkeiba.com
自分が乗っていた頃から、「いずれはGIでも…」という可能性を感じさせる馬だったが、当時は