函館記念に出走予定のローシャムパーク(撮影:下野雄規)
古来から競馬には“夏は格より調子(デキ)”という格言があります。元々、馬は寒い地域での生き物。暑い夏場はコンディションの管理が難しく、強い、弱い論よりも確実に体調の良い馬を狙ったほうが得策だということなのでしょう。夏場はハンデ戦の重賞が多く、そこと共鳴している部分もありそうですね。
しかし この函館記念に関しては、それら“夏は格より調子(デキ)”という格言とは一線を画す傾向が垣間見えもします。ハンデ重賞・函館記念に おいて重要なのは、前走レースの"格"であるというデータです。
■函館記念、前走クラス別成績
前走重賞 78戦【9-6-7-56】勝率12% 単回収185% 複回収155%
前走OP以下 81戦【1-4-3-73】勝率1% 単回収6% 複回収51%
合計 159戦【10-10-10-129】勝率6% 単回収94% 複回収102%
※2013年以降の過去10年
過去10年の函館記念、前走が重賞レースではなかった勝ち馬は2019年のマイスタイル、1頭だけという状態。暑さ対策も含め、競走馬の体調管理に関しても飛躍的な進歩があったと言える近年、この傾向は今後も継続していく可能性が高いのではないかとも考えられます。
■2023年函館記念、前走が重賞ではない出走予定馬
アラタ
アルナシーム
スタッドリー
テーオーシリウス
ドーブネ
ブローザホーン
ルビーカサブランカ
ローシャムパーク
ローゼライト
今年の函館記念はアラタやドーブネ、ローシャムパークにブローザホーンなど、前走非重賞の馬が人気を集めそうな気配。もともと“勢いのある馬”のほうが人気になりやすい函館記念ですが、これはちょっと楽しみなレースになってきました。
ウマい馬券では、ここから更に踏み込んで函館記念を解析していきます。印の列挙ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と掲げる、岡村信将の最終結論にぜひご注目ください。
■プロフィール
岡村信将(おかむらのぶゆき)
山口県出身、フリーランス競馬ライター。関東サンケイスポーツに1997年から週末予想を連載中。自身も1994年以降ほぼすべての重賞予想をネット上に掲載している。1995年、サンデーサイレンス産駒の活躍を受け、スローペースからの瞬発力という概念を提唱。そこからラップタイムの解析を開始し、『ラップギア』と『瞬発指数』を構築し、発表。2008年、単行本『タイム理論の新革命・ラップギア』の発刊に至る。能力と適性の数値化、できるだけ分かりやすい形での表現を現在も模索している。
1995年以降、ラップタイムの増減に着目。1998年、それを基準とした指数を作成し(瞬発指数)、さらにラップタイムから適性を判断(ラップギア)、過去概念を一蹴する形式の競馬理論に発展した。『ラップギア』は全体時計を一切無視し、誰にも注目されなかった上がり3ハロンの“ラップの増減”のみに注目。▼7や△2などの簡単な記号を用い、すべての馬とコースを「瞬発型」「平坦型」「消耗型」の3タイプに分類することから始まる。瞬発型のコースでは瞬発型の馬が有利であり、平坦型のコースでは平坦型に有利な流れとなりやすい。シンプルかつ有用な馬券術である。