2016年に次ぐ速いタイムを叩き出した
ライオットガールが勝利(撮影:下野雄規)
先行した馬同士の決着になり、これでは平凡な内容かと思えたが、勝ち時計は1分50秒8。最近10年の良馬場では、2016年グレンツェントの1分50秒6に次ぐ速いタイムだった。
勝ったのは、牝馬ライオットガール(父シニスターミニスター)。すんなり2番手追走になり、馬群にもまれなかった展開とはいえ、勝ち時計は文句なし。牝馬の優勝は、2010年のミラクルレジェンド以来、史上2頭目。ミラクルレジェンドは牝馬のダート巧者として、成績だけでなく血統面でも重要な役割りを果たしている。
ライオットガールは、今年の3歳世代のダート戦では、大きな注目を集める南関東公営の無敗の三冠ミックファイアと同じ種牡馬シニスターミニスターの代表産駒。父は、目下へニーヒューズと並んで全国ダート総合種牡馬ランキングで主位争いを展開している。
ロードカナロア、ドレフォンなどがこれに続くダートの種牡馬ランキングは、芝を合わせた総合ランキングも接戦だが、このランキング2部門はともに最後まで大接戦だろう。
クビ差2着に伸びたのはオメガギネス(父ロゴタイプ)。離れた3番手からだが、展開に恵まれたものではなく、逃げて差のない3着に粘った伏兵ルクスフロンティアの前半1000m通過は「60秒5」、決してスローではなかった。このペースを前にいる2頭を射程に入れて進み、上がり37秒1(レース上がり37秒6)は、メンバー中の最速だった。キャリアはもっとも浅く今回がまだ3戦目。力感あふれる馬体、幅のあるレース運びから、これからさらに良くなるだろう。
2頭に交わされたとはいえ、このペースで先導して0秒1差の3着に粘ったルクスフロンティア(父エピファネイア)も、その内容は十分。他馬よりカーブでのペース判断が難しくなるのが逃げ=先行馬だが、ベテラン秋山真一郎騎手(44)は、3コーナーからの1ハロンを13秒台に落として幻惑している。
人気の中心ミスティックロア(父アロゲート)は、初の遠征で直前の入厩。心配されていた、精神面の若さが響いた。パドックでの気負いはそれほどではなくても、レースになって他馬を気にするなど、若さがロスとなって出てしまった。
2番人気のエクロジャイトも、他馬を気にしたわけでもないが、リズムに乗っての好位追走ではなく、この馬にとっては厳しいペースだったのだろう。
みんなキャリアは浅く、それぞれ敗因は複雑だが、今回は3着ルクスフロンティアに5馬身も離されたので、ルベルの高いダート巧者揃いのこの世代では、トップに追いつくにはこのあと大きな進展が求められる。