【札幌記念予想】ジャックドールの真価はタフな成長力にあり
正攻法の先行力を身につけ飛躍する
秋のビッグレースに向けての始動戦。多くの有力馬が間隔を空けたあとであり、近年は休み明けが大きな死角ではないとはいえ、ここが必勝態勢というわけではない。
厳しいペースになる可能性は少ないとみて、先行策に幅を増しているジャックドール(父モーリス)を中心視したい。今春の大阪杯を制してGI馬となったジャックドールの3歳から4歳前半にかけての連勝は、金鯱賞が代表するように前半はスローに持ち込み、後半スパートする巧みな作戦勝ちが多かった。
だが、前傾バランスだった昨年の札幌記念で先行抜け出しを決め、前後半「58秒9-58秒5」で押し切った大阪杯は、もう相手を幻惑の先行策ではなくなっている。バランスの取れた正攻法の先行力を打ち出すタイプに成長している。
ジャックドールは5歳になってGI馬となった。父モーリスは16年の天皇賞(秋)を中心に、4歳、5歳時に海外を含めGIを6勝した。さらにその父スクリーンヒーローは、08年のジャパンC勝ち馬だが、そのときすでに17戦目、4歳秋のことだった。3代父になるグラスワンダーは98、99年の有馬記念連覇などGIを4勝。2歳時に当時の朝日杯3歳Sを制してはいるが、あのころ早熟型が多かった外国産馬ながら、4歳になっても宝塚記念と有馬記念を勝っている。
ジャックドールは、もう4代も連続して「父→息子」が日本のGIを勝ち続けているただひとつの父系の1頭であり、外国産馬グラスワンダーがクラシックに出走できなかった流れを汲むわけではないが、3歳クラシックには縁がなく、古馬になって秘める能力全開となるのがこの父系の特徴。タフな成長力が真価だ。ジャックドールはもっとパワーアップする可能性を秘めている。
相手本線は、ダノンベルーガ、シャフリヤール、ソーヴァリアント、プログノーシス。