▲ミックファイアで無敗の三冠を達成した御神本訓史騎手(C)netkeiba.com
7月12日に大井競馬場で行われたジャパンダートダービーを制し、無敗の南関東三冠を達成したミックファイア。そしてその背中にいたのは「天才」と称される御神本訓史騎手。
緊張などとは無縁と思いきや、二冠が懸かった独特の空気が漂う東京ダービーでは、装鞍所に行った途端に急激な緊張感に襲われたそう…。
それを跳ね除けたミックファイアと歩む未来、来年から始まるダート競走の体系整備など、今後に向けた力強い言葉をお聞かせいただきました。
そして明日24日(木)公開の後編では、御神本騎手と地方時代から親交のある、岩田康誠騎手と戸崎圭太騎手からの祝福コメントをお届けします!
(取材・構成=赤見千尋)
「自分では緊張しないと思っていたけど…」雰囲気に飲まれた東京ダービー
──ミックファイアでの南関東三冠制覇、おめでとうございます!
御神本 ありがとうございます。本当に三冠って獲れるものなんだなって思いました。自分が任された5月の羽田盃からは、短く濃い時間であっという間でしたね。
──羽田盃の登録の段階では賞金順的に出られるかわからない状況でした。騎乗依頼が来た時は、どんな風に感じたのでしょうか。
御神本 馬の存在は知っていましたが三回しか使っていなくて、そこまで深い印象は持っていませんでした。ありがたいことに毎年いい馬に乗せていただいていますが、今年はこれっていう馬が最後の最後まで決まらなかった中で、羽田盃の2週間前くらいですかね、声を掛けていただきました。これはもう運ですね。
──休み明けだった5月10日の羽田盃、パドックでは相当入れ込みが激しかったです。
御神本 そういうところがあるというのは聞いていましたけど、跨ったらうるさくて(苦笑)。短い距離がいいのではないかという気性でした。休み明けで体重も減っていましたが、競馬に行ったら強かったですね。
ゲートもおとなしくはないけれど上手くスタートを切れて、いいところにつけられて、向正面もすごく手応えがよくて。4コーナーの時点では、追ってから脚があれば勝てるなと思っていて、実際追ったらすごい弾け方でした。
▲初コンビとなった羽田盃で6馬身差の圧勝(撮影:高橋正和)
──これまでたくさんの名馬に騎乗して来た御神本騎手にとっても、衝撃的な末脚だったんですね。
御神本 2000mくらいの距離で先行してあの弾け方というのは初めてだったと思います。ただ、すごく強かったですけど、まだ自信には繋がっていなくて。
休み明けでいろいろなことがハマってあの走りだった可能性とか、半信半疑でした。東京ダービーはメンバー的に羽田盃と同じような感じで距離も200m延長するだけ、勝ちたいし負けられないという気持ちが強くて、相当緊張しました。