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【ローズS・セントライト記念予想】春の実績馬と夏の上がり馬たちが激突! トライアル重賞に出走する各馬の調教内容をジャッジ

  • 2023年09月13日(水) 18時00分

今後の路線など陣営の意図も予想の鍵に


 現在、栗東には美浦所属馬が多数滞在しています。その中の1頭がローズSに出走予定のブレイディヴェーグ。下級条件とはいえ、ここまでのパフォーマンスは間違いなく圧巻級ですし、そんな馬が栗東に滞在してくれて、調整を確認できるなんて幸せ。1週前追い切りのCWでの動きは素晴らしかったですし、ローズS後も栗東に滞在してくれるのかも含めて楽しみ。

 セントライト記念は美浦所属馬の壁が分厚い印象ですが、皐月賞、日本ダービーに参戦したシャザーンや2歳GI王者のドゥラエレーデといったところは実績を考えると、埋まらないほどの差ではないはず。菊花賞を見据える馬もいれば、ここから別路線を考えている馬もいるでしょうから、そのあたりの各陣営の意図まで考慮した上での予想が必要かもしれませんね。

【ローズS/ブレイディヴェーグ】

 未勝利、1勝クラスと連勝中ですが、すべてメンバー最速上がりをマークしていて、稍重の馬場の経験もあれば、前走が良馬場で芝2000mを1分57秒9。左回り経験しかなかったり、直線急坂経験がなかったりしますが、そのあたりの不安と考えられる要素が人気になることを抑制するのであれば、単勝オッズに妙味があるかもしれません。

 また、栗東滞在がどうか、という部分もあるでしょう。しかし、これに関しては、美浦の坂路が使えないことを思えば、プラスにしかならないと思います。実際、しっかりと坂路を使って追い切りを課すことができていますし、右回りのCWでも素晴らしい動き。陣営から「夏負け気味」というコメントも出ていますが、今の栗東坂路朝夕は涼しくなっており、そのあたりはうまく調整できているはず。

 そう感じさせてくれたのが、1週前追い切りであり、最終追い切り。最終にはC.ルメール騎手が跨りましたが、道中盛んに前進気勢を見せますが、最後の直線では11.3秒、11.4秒のラップを踏めるほど脚がたまっていたんだと驚くばかり。6F82.3秒は十分速い時計ですし、不安より楽しみの方が大きいというのが個人的な意見です。

調教Gメン研究所

栗東滞在がプラスになりそうなブレイディヴェーグ(9月12日撮影)


【ローズS/ソーダズリング】

 フローラSで2着して、オークスは単勝5番人気。ただ、8着という結果に終わっており、個人的には距離がフィットしなかったことに加えて、1週前の追い切り内容が軽かったことが敗因だと考えています。この点に関しては、今回の1週前はフローラSの時に似ており、4F50.7秒はほぼ完璧だったと思います。

 最終追い切りがどんな内容になるかと思いましたが、当日輸送の阪神ということもあって、4F51.7秒の速い時計。それでありながら、4F目11.9秒の最速ラップを踏んでいて、文句なしの最終追いといってよいでしょう。この舞台は勝利経験もありますし、春のGI経験馬としてはここは譲れないところかもしれません。

調教Gメン研究所

文句なしの最終追いを見せたソーダズリング(9月12日撮影)


【ローズS/ラヴェル】

 ゲートが決まらなかったデビューからの4戦に対して、内枠に入ったこともあって、思い切った競馬に徹した前走のオークス。その結果が4着なのだから、2戦目以降手綱を握り続けている坂井瑠星騎手、アッパレというレース内容だったと思います。

 そういった意味では注目の秋シーズンですが、調教内容はこれまでと一変してきました。まず最終追い切りが坂路で4F50.8秒。自己ベストを大幅に更新する内容です。オークスの最終追いでは4F52.4秒で4F目が最速になるラップ。今回は減速ラップなので、ここが違います。また、1週前追い切りの内容もオークスの時とは違っており、調教内容の判断として前向きな評価が難しいところです。

【セントライト記念/シャザーン】

 日本ダービーは向正面で動くことができれば、結果は変わっていたかも知れない9着。個人的には皐月賞、日本ダービーと出走して、その上位とはさほど差がないと思っています。そして、1週前追い切りのCWでの3頭併せを見て、春よりも成長した姿でしたし、だからこそ、少し鈍さもある動きだったのかなと判断。しかし、それでいて、6F79.5秒、1F11.5秒ですから、やっぱりポテンシャルは相当高いと思います。

 最終追い切りは14日に予定されていますが、先週末にも坂路で時計を出していて、順調そのもの。馬体重は500キロを超えての出走かもしれませんが、そこに関しては全く問題ありません。ここで勝ち負けというイメージはありますが、それよりもレース内容がどうなるかという点が注目でしょう。

調教Gメン研究所

シャザーンの1週前追い切りの様子(写真中央、9月6日撮影)


【セントライト記念/ドゥラエレーデ】

 個人的には古馬相手でも注目した宝塚記念でしたが、先行しての敗戦。53キロでこの着順はちょっと力差を感じましたが、先行した馬がみな失速したレースの質を考えると、仕方なかったのかもしれません。

 この中間は坂路中心、1週前追い切りがCWという内容ですが、時計的には目立って速い数字は出ていません。決して、追い切りの負荷は強くありませんが、追い切り本数が少ないというわけでもないので、ここが良い、ここが悪いという具体的なところは見つからないという感じがします。それだけに、無難な評価になってしまいますが、あとは最終追い切りがどんな内容になるか、といったところでしょう。

調教Gメン研究所

セントライト記念に向けて調整されるドゥラエレーデ(9月12日撮影)


◆次走要注意

・9/10 2歳新馬【マーメイド】(3人/5着)

 最終追い切りが持ったままで素晴らしい動きを見ていてましたが、レースでもそんな感じの逃げ。ただ、追い出してからが案外という形に終わってしまいました。少し危惧していたところが出ただけだと思うので、これで慣れてくれば、次は変わってきていいはず。

[メモ登録用コメント] [芝]最終追い切りが併せ追走先着なら勝ち負け

◆開催おすすめの調教適性

<阪神芝1800m>
◎最終追い切りが坂路馬場で3F目12.9秒以下かつ4F目最速ラップ
◎最終追い切りがトラックウッドチップ馬場で6F82.9秒以下かつラスト2F12.0秒以下
○追い切り本数が標準以上の併用系統

 先週の予想段階では坂路の調教適性だけに絞っていましたが、1勝クラスと新馬戦の2レースの結果を経て、上記のような修正を行いました。時計の速い馬場ということで、トラックW馬場は6Fからしっかり速い時計。坂路は後半2Fが速さかつ最速というところが重要だと判断しています。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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