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【エリザベス女王杯・福島記念・デイリー杯2歳S・武蔵野S予想】人気を集めそうな2頭の追い切り内容は? 有力馬の調教内容をジャッジ

  • 2023年11月08日(水) 18時00分

「平穏」か「波乱」か


 今週はエリザベス女王杯。いつもこのレースを迎えると「もうこんな時期になったんだ」と思うのですが、その理由は今週から有馬記念、ホープフルSまで、毎週GIが続いて1年が終わるから。その周辺に重賞もたくさん組まれていて、いつも以上に予想へ神経を使う時期でもあります。その分、トレセンは賑やかになっていて、春とはまた違った、わくわく感があるんですよね。

 まあ、それも予想が的中してこその気持ち。特別登録の段階からフルゲートを割ったエリザベス女王杯はまず「平穏」「波乱」の初期設定から重要になってくると思います。皆さんはどうお考えでしょうか。個人的には平穏の範囲内に収まると思っていますが、そこが狂ってしまうと予想が的中しても馬券が外れるという、一番辛い状況になりますし、よく考えてみたいと思います。

【武蔵野S/ドライスタウト】

 前走のテレ玉杯はnetkeiba.comの予想配信番組で状態解説をさせていただきましたが、絶好調ではないものの、自身の力を出せる状態にはあるだろうという判定。勝ったという結果については相手との力差が大きかったという判定をしています。

 さて、今回なのですが、1週前追い切りのCWでの併せ馬が遅れ。この内容は前走と同じ。そこが物足りないと感じるわけですが、6F82.2秒なら極端に評価を下げる理由にもなりません。そもそも追い切り本数自体はしっかりとこなしているので、中身については問題ないでしょうし、それこそ他との力関係で最終的な着順が決まってくることになりそうです。

調教Gメン研究所

追い切り本数をしっかりとこなしているドライスタウト(11月7日撮影)


【デイリー杯2歳S/ダノンキラウェア】

 デビュー戦は坂路とCWを併用して、合計6本の追い切り。これは本数として少ないので、余裕を持った調教内容で勝利したという判定でよいと思います。ただ、ポイントとしては1週前追い切りも最終追い切りもCWで併せ馬を先着していたという点は今回もチェックしておくべきだと思います。

 そういった意味で今回の1週前追い切りはCWで先行して少し遅れるという内容。ラスト1F11.2秒なら仕方ないかなと思うところ、3F37.2秒自体は評価できるけど、前走時は36秒台だったという比較だとどうしても物足りなさを感じてしまいます。最終追い切りはCWでの併せ馬でしたが、先行して追いつかれて手応え劣勢に見えました。ラップ的にはラスト2Fが11.3秒、11.2秒と止まってはいない数字で判断に悩みます。

調教Gメン研究所

手応え劣勢に見えたダノンキラウェア(11月8日撮影)


【福島記念/バビット】

 netkeiba.comの予想オッズを見ると上位人気。近走成績を見ると「えっ」という感じですが、やっぱり人気のある馬なんですね。それに関してはすごくよく分かります。ただ、前走に関しては調教内容が非常に良かっただけに、それでいて勝ち馬から1秒離された点は言い訳なしの負けかなと思います。

 今回は前走とは違って、1週前追い切りの坂路で速い時計をマークして、最終追い切りは遅めの坂路。これがどうかですが、過去にはこれで凡走が続いています。調教内容からは強く推せないというのが正直なところです。

【エリザベス女王杯/ブレイディヴェーグ】

 ローズSで初めての栗東滞在。そこからレース間隔があきましたが、今回も滞在という選択をしてきました。美浦でもある程度の追い切りを消化してきましたが、栗東に入ってからも順調。慣れもあるんでしょうが、それ以上に学習能力が高い馬なんだと思います。

 というのも、CWでのラップの踏み方。前走時の2本の追い切りはいずれも前半がちぐはぐになる、まあ当たり前の内容。それでも最終追い切りなんかはラスト2Fが11.3秒、11.4秒で素晴らしいと評価しました。それが今回はCWでの最終追い切りが道中きれいな加速ラップ。最後の直線は11.3秒、11.3秒なので、ラスト1Fが最速とはなりませんでしたが、全くの馬なりでこれ。追えば間違いなくラストは11秒前後だったと思います。

 この内容を見るかぎり、前走のような後方からのレースではなく、ある程度のポジションで運んでいるイメージが湧いてきます。

調教Gメン研究所

道中きれいな加速ラップをしたブレイディヴェーグ(写真奥、11月8日撮影)


【エリザベス女王杯/ハーパー】

 オークス以来の前走。休み明けとはいえ、追い切り本数が多かったので、仕上がり内容としては決して悪くなかったと思いますが、さすがにひと夏越しての間隔。最終追い切りがオークス時の坂路でなくCWだったことからも想像できるように、やっぱり休み明けということだったのでしょう。

 今回は最終追い切りが坂路。時計は遅くなりましたが、これは必要ないくらいの状態にあるからこそだと思います。週末のCWでしっかりやるというパターンもオークスの時と同じですし、この調教内容なら評価しないわけにはいきません。

調教Gメン研究所

エリザベス女王杯へ向け追い切りをするハーパー(11月7日撮影)


◆次走要注意

・11/5 アルゼンチン共和国杯【ハーツイストワール】(11人/6着)

 約1年ぶりのレースで追い切りは坂路のみ。仕上がり不足だろうと思っていましたが、パドックに出てきた姿は素晴らしかったですね。直線も見せ場たっぷりの走り。最後に止まったのはそれこそ休み明けでしょう。次は本領発揮となりそうです。

[メモ登録用コメント] [芝長距離]美Wの追い切りを併用してくれば勝ち負け

◆開催おすすめの調教適性

<福島芝2000m>
◎最終追い切りが坂路で4F目最速ラップ
○最終追い切りがトラック馬場で4F54.0秒以下
○調教タイプが馬ナリ平均か乗込

 開催2日目にして差しが決まり始めた馬場状態。やはり◎は必須になりそうですが、こと福島記念に関しては、追い切り本数が多い調教タイプ、併用の調教タイプが好走。レースの格とペースがこれを必要にさせるんだと思います。というわけで、福島記念に関しては上記に記載した調教適性と同じかそれ以上に調教タイプを重視する予想になるかも知れません。

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調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。著書に「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」「100%激走する勝負調教、鉄板の仕上げ-馬の調子、厩舎の勝負気配は調教欄ですべてわかる」など。また「Beginners room」では競馬ビギナー向けに教鞭をふるう。 関連サイト:井内利彰ブログ

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