▲競輪・競馬実況アナウンサーの加奈山翔さん(左)とnetkeiba TVでおなじみの一瀬恵菜さん(撮影:Kenji Onose)
馬とひと…賭ける対象は異なるものの、予想をして投票する行為は共通している競馬と競輪。 競馬では26日にジャパンC、競輪では21日から26日までGI競輪祭が開催されます。
GIレースが佳境を迎えた今回、競輪実況アナウンサーの加奈山翔さんと競馬大好き競輪ビギナーの一瀬恵菜さんをお迎えし、ジャパンCや競輪祭の見どころ紹介や、競馬と競輪の違いを通して、一瀬さんが競輪をゼロから学びます。
「競馬と競輪の違いを大解説・後編」を読む
(構成・編集:netkeirin編集部)
今年のジャパンCは2012年のようなマッチレースを期待
一瀬 競馬大好きタレントの肩書で活動している一瀬恵菜です。『netkeiba』で予想動画番組「一瀬恵菜の調教トップ5」を担当させてもらったり、競馬に関わるお仕事をしています。
今回は、競輪のビッグレース「朝日新聞社杯競輪祭(GI)」が21日から行われるということで、競輪の基礎を競輪実況アナウンサーの加奈山翔さんに教えてもらいたいと思います。
加奈山 東京の立川競輪と、全国で唯一の村営競輪場である新潟の弥彦競輪で実況をしているアナウンサーの加奈山翔です。競輪は朝・昼・夜・ミッドナイトがあるので、8時30分から23時30分まで喋っています(笑)。
一瀬 朝から深夜まで!! 加奈山さんは競輪だけではなく、実は競馬の実況もされているんですよね?
加奈山 昨年からホッカイドウ競馬の実況メンバーに加えてもらい、今年5月に重賞ヒダカソウカップ(H3)を担当しました。競馬も競輪も大好きですよ!
一瀬 競馬はもともと…。
加奈山 父の影響でハマりました。
一瀬 私も父の影響から競馬に。ローゼンクロイツがきっかけです。
加奈山 ディープインパクト世代の馬でしたよね。僕は父が遊んでいた『ダービースタリオン』とアグネスタキオンです。
ダビスタのレース画面ってゴール板がピカッピカッと光るエフェクトがあるんです。ゴール板を見たさに競馬場に連れて行ってもらって目覚めました。変な小学生ですよね(苦笑)。2001年の弥生賞でした。
中山競馬場の雰囲気や不良馬場を力強く駆け抜けてきたアグネスタキオンに惹かれ、初めて聞いた場内実況…あれを聞いて競馬がもっと好きになりましたね。家ではお手玉を馬に模して、実況の真似事をしていました。
▲競輪と同じくらい競馬愛も深い加奈山さん
一瀬 夢が叶ったんですね。さて、競馬ファンにとって楽しみ過ぎるジャパンCがやってきます。加奈山さんにとってのジャパンCと言えば!?
加奈山 オルフェーヴルとジェンティルドンナが出走した2012年です。世代最強の4歳牡馬オルフェに牝馬3冠のジェンティルが挑むという構図、今年と似ているなと。
一瀬 直線での壮絶な叩き合い。ジェンティルの気の強さに驚きました(笑)。
加奈山 一瀬さんは?
一瀬 2005年のアルカセットです。
加奈山 2:22.1には驚きましたね。
一瀬 この年のクラシックはディープインパクト世代、2:22.1の勝ち時計を見た時に日本ダービーの時計を見返した記憶があります。
加奈山 マニアック(苦笑)
一瀬 世界には凄い馬がいるんだなと。同じ時計で2着に敗れたハーツクライが次走の有馬記念でディープを負かすんです。時計は嘘を付かないことを学びました(笑)。
近年だとアーモンドアイが勝った2018年。現地で見ていたんですが、ゴール板にあるロンジンの時計が壊れたかと思った。
加奈山 2:20.6は衝撃でした。
▲ジャパンCの勝ち時計が気になると話す一瀬さん
一瀬 今年イクイノックスが更新するんじゃないかとドキドキしています。
加奈山 前走の天皇賞(秋)はJRAレコードですからね。今年は大多数のファンが考えるように、僕も勝つのはイクイノックスと見ています。ただ、リバティアイランドは54kg。4kgの斤量差でカバー出来るんじゃないかと期待を持っています。オルフェとジェンティルの時のような2頭のマッチレースが見たいですね。
一瀬 私は「ダービー馬」という響きが好きなので、ドウデュースの逆襲に期待したいです。あと過去10年のジャパンCは外国人騎手が7回勝っているんです。だから外国人騎手が騎乗する馬は買おうと。
加奈山 イクイノックスとリバティアイランドを軸に、ドウデュースと外国人騎手を入れて買っておきますか(笑)。
競輪では選手の出走レースを決めるのは主催者
一瀬 では、ここからは競馬と競輪の違いを挙げながら競輪を学んでいきたいと思います。
最初に開催についてですが、競馬は単発レースとして行われます。でも競輪は違うんですよね。
加奈山 競輪はトーナメントです。同じ階級の選手たちが3日から6日間かけて優勝を争います。これが今年の競輪祭の日程表です。
※編集部注
予選1走目獲得ポイント…1着10pt、2着9pt、3着8pt、4着7pt、5着6pt、6着5pt、7着4pt、8着3pt、9着2pt、棄権1pt、失格・欠場0pt
予選2走目獲得ポイント…1着13pt、2着11pt、3着9pt、4着7pt、5着6pt、6着5pt、7着4pt、8着3pt、9着2pt、棄権1pt、失格・欠場0pt
競輪祭は2走の合計ポイント上位63人が二次予選に進出する
一瀬 予選から決勝まで6日間で全部済ませるんですか?
加奈山 はい、ちなみに実況も同じです。1日12レース×6日間喋りますよ。
一瀬 1レースごとに選手が選抜されるんですか?
加奈山 いえ、競馬でいう重賞レースは1レース9人、1日12レースで行われるので、最初に108人の選手を集め、着順や着順にともなう獲得ポイントによって勝ち上がり選手を決めていきます。
一瀬 108人も…競馬のように除外とかは。
加奈山 全員出走出来ます(笑)。「あっせん」という形で主催者から選手に対して、出場要請の連絡が来るんです。格上レースの場合は出場条件を満たした選手だけが出走します。
一瀬 勝手に決められてしまうんですか!?
加奈山 競馬のように「次は○○ステークスへの出走を検討」ではないんですよね。例えば「一瀬さん、来月のnetkeirin杯に出場してください」という感じで主催者から連絡が入り、一瀬さんが参加可否を判断するんです。
一瀬 出走レースは決められないけど、出否は選手自身が判断するんですね。
加奈山 そうです。
一瀬 次にレースの周回ですが、競輪は同じ所をぐるぐると…。
加奈山 競馬はステイヤーズSなど珍しいケースを除き、コースを何周もすることはありませんが、競輪はコースを周回します。周長で変わりますがスタンダードの400バンクの場合は4周から7周。競輪祭が行われる小倉競輪場は1周400mになるので6周回で2,400m。厳密には2,425mになります。KEIRINグランプリは7周回2,825mです。
一瀬 場によってコース形態は違うんですか?
加奈山 大きく3形態あって、全43場の7割を占める400m、短走路の333m、長走路の500mですね。