▲“世界王者”イクイノックスと“三冠牝馬”リバティアイランド(撮影:下野雄規、桂伸也)
驚愕のレコードで天皇賞(秋)を勝利し、GI・5連勝とした“世界王者”イクイノックスvsデビューから破格の競馬を続け、6戦5勝の戦績を誇る“三冠牝馬”リバティアイランド。
“最強”2頭はどちらが強いのか? 激突を前に、競馬アナライザーのMahmoud氏が独自の視点で2頭の走りを徹底比較!
「東京芝2400mでの走り」「過去の三冠牝馬vsリバティアイランド」「カギを握るタイトルホルダーの存在」「天皇賞(秋)圧勝の裏にあるイクイノックスの死角」など、濃密な分析コラムをお楽しみください──。
(構成・文:Mahmoud)
“頂上決戦”2頭の東京芝2400mでの走りを比較
他馬を圧倒するパフォーマンスでGIを5連勝中のイクイノックスと4連勝中のリバティアイランド。私が計測したデータをフルに使ってこの2頭はどちらが強いのかを考えてみたいと思います。
イクイノックスの日本ダービーとリバティアイランドのオークスのそれぞれの個別ラップタイムを、私が算出している馬場差を基に、イクイノックスが日本レコードをマークした天皇賞(秋)と同等の馬場状態で行われたと仮定し今回のジャパンCの斤量で補正してみました。まずは600m毎の値から。
▲斤量と馬場状態をMahmoud式に補正した「イクイノックスの日本ダービー」と「リバティアイランドのオークス」の600mごとの個別ラップタイム(作成:Mahmoud)
前半600m地点ではリバティアイランドが1.5秒リード。その後は徐々にイクイノックスが差を詰めるも0.15秒届かず、となっていますが後半1000mにおける200m毎のラップタイム推移を見ると少しイメージが変わります。
▲Mahmoud式に補正された「イクイノックスの日本ダービー」と「リバティアイランドのオークス」の後半1000mの個別ラップタイム(作成:Mahmoud)
2200m=残り200m地点ではイクイノックスが0.05秒前に出ています。しかしラスト200mでリバティアイランドが差し返しています。この2頭、スピード推移の形が異なります。その違いを200m毎の平均ストライド長で見てみましょう。
▲200m毎の平均ストライド長(1完歩ごとに進む距離)。グラフの値が上になるほど歩幅が大きいことを表す(作成:Mahmoud)
イクイノックスの平均ストライド長が最も伸びた区間はラスト800〜600m。そして若干のコーナーを含むラスト600〜400mより直線平坦となるラスト200〜0mの方が平均ストライド長は狭くなっている通り、イクイノックスは脚を余さず余力を振り絞ってゴールを駆け抜けた形。
一方、リバティアイランドは尻上がりに平均ストライド長が伸びており余力をある程度携えてラストスパートを行い、ゴール入線時も若干の余裕残し。この余力度の違いを考慮すると補正走破タイムの0.15秒差以上にリバティアイランドが上と私は判断します。
ただし、リバティアイランドはこのオークスから今回のレースは6ヶ月後、イクイノックスは1年半経っており成長に費やされるタイムスパンはイクイノックスが断然上です。
▲イクイノックスが2着に敗れた約1年半前の日本ダービー(撮影:下野雄規)
3歳時にジャパンC制覇を成し遂げた名牝vsリバティアイランド
▲2018年のジャパンCを世界レコードで圧勝したアーモンドアイ(撮影:下野雄規)
▲2012年のジャパンCでオルフェーヴルを破ったジェンティルドンナ(内)(撮影:小金井邦祥)
牝馬三冠を達成した次走でジャパンCを勝利した名牝ジェンティルドンナ、アーモンドアイの2頭とリバティアイランドを比較してみたいと思います。比較材料として挙げるのは私が30年近くはじき出している指数値。秋華賞を勝った時点までの3頭の指数表をご覧ください