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【朝日杯FS予想】距離延長を克服できるか

  • 2023年12月12日(火) 12時00分

すべてをひっくり返す可能性はある


 今週の朝日杯FSでは2戦2勝のダノンマッキンリーが上位人気の一角を占めそうだ。同馬は1400mを2回使ってきたのでマイル戦は距離延長で初距離ということになる。加えて、まだ重賞に出走したことはないので、その壁も越えなければならない。同様の課題は、3戦2勝だが初距離のサトミノキラリにも言えることになる。

 今回は中山で施行されていた時代も含め、平成以降の過去34回で見てみよう。

 まず、前走1400m以下から優勝した馬は8頭いて最近ではグレナディアガーズが該当例だが、同馬は負けていたとはいえ1600m経験はあった。

 1400m以下しか経験のないまま朝日杯を勝ったのはマイネルマックスとリンドシェーバー(同馬は前走芝1200m)だが、いずも1990年代でかなり古い例だ。

 前走1400m以下からの2着は14頭で、この中には1600m以上の経験がなかった馬も多いのだが、14頭中京成杯3歳S(現レース名京王杯2歳S)で3着以内だった馬が9頭、1400m施行のデイリー杯勝ち馬(ビワハヤヒデ)を入れると重賞好走馬が10頭ということになる。残る4頭のうち1頭は1600m経験があり、距離未経験は3頭。2013年のショウナンアチーヴは重賞も1600m以上も未経験だったので今回のダノンマッキンリーやサトミノキラリに近いが、残り2頭はやはり90年代の馬になる。

 では、「前走が条件戦かつ1400m以下」からの好走例はどのくらいあるのだろうか。34回トータルの成績は[2-4-4-87]。3着以内は10頭のみとなる。

 この10頭のうち、それまでに1600m以上の経験が無かったのは5頭で、うち1頭が前述のショウナンアチーヴ。残り4頭はマル外全盛期である90年代の外国産馬だ。

 もちろん、このパターンで上位人気になる馬は過去にほとんどいなかったので、ダノンマッキンリー、あるいはサトミノキラリが地力ですべてをひっくり返す可能性はある。ただ臨戦パターンとして強く推せるパターンではないので、データ派としては本命にするという選択肢はなく、あとはどの程度の扱いにするかということを考えているところだ。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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