すべてをひっくり返す可能性はある
今週の朝日杯FSでは2戦2勝のダノンマッキンリーが上位人気の一角を占めそうだ。同馬は1400mを2回使ってきたのでマイル戦は距離延長で初距離ということになる。加えて、まだ重賞に出走したことはないので、その壁も越えなければならない。同様の課題は、3戦2勝だが初距離のサトミノキラリにも言えることになる。
今回は中山で施行されていた時代も含め、平成以降の過去34回で見てみよう。
まず、前走1400m以下から優勝した馬は8頭いて最近ではグレナディアガーズが該当例だが、同馬は負けていたとはいえ1600m経験はあった。
1400m以下しか経験のないまま朝日杯を勝ったのはマイネルマックスとリンドシェーバー(同馬は前走芝1200m)だが、いずも1990年代でかなり古い例だ。
前走1400m以下からの2着は14頭で、この中には1600m以上の経験がなかった馬も多いのだが、14頭中京成杯3歳S(現レース名京王杯2歳S)で3着以内だった馬が9頭、1400m施行のデイリー杯勝ち馬(ビワハヤヒデ)を入れると重賞好走馬が10頭ということになる。残る4頭のうち1頭は1600m経験があり、距離未経験は3頭。2013年のショウナンアチーヴは重賞も1600m以上も未経験だったので今回のダノンマッキンリーやサトミノキラリに近いが、残り2頭はやはり90年代の馬になる。
では、「前走が条件戦かつ1400m以下」からの好走例はどのくらいあるのだろうか。34回トータルの成績は[2-4-4-87]。3着以内は10頭のみとなる。
この10頭のうち、それまでに1600m以上の経験が無かったのは5頭で、うち1頭が前述のショウナンアチーヴ。残り4頭はマル外全盛期である90年代の外国産馬だ。
もちろん、このパターンで上位人気になる馬は過去にほとんどいなかったので、ダノンマッキンリー、あるいはサトミノキラリが地力ですべてをひっくり返す可能性はある。ただ臨戦パターンとして強く推せるパターンではないので、データ派としては本命にするという選択肢はなく、あとはどの程度の扱いにするかということを考えているところだ。