過去にはキャリア1戦から制した馬も
朝日杯FSが阪神で行われるようになって今年で10年目、外回りの1600米はスピードだけでは乗り切れないタフなコースだけに、これまで逃げ切った馬は出ていない。
また極端な追い込みで成功したものも少ない。キャリアは、2戦以下が5勝2着4回、3戦が3勝2着4回、4戦が1勝2着1回と過去9年を振り返ると、3戦以下が圧倒的だ。2歳馬のこの時期だけに、好結果を生む条件としてヒントにしていいだろう。
ここで興味を引くのが、キャリア一戦で勝利した馬のこと。2015年の勝ち馬リオンディーズで、直線半ばで抜け出した2戦2勝でデイリー杯2歳Sの勝ち馬エアスピネルに外から猛然と襲いかかり、2歳王者に輝いていた。リオンディーズは11月に京都で2000米の新馬戦を33秒4の鋭い末脚で勝っていて、阪神の外回りのマイルならと2番人気に支持されていた。
グレード制が導入されて以降、デビュー2戦目でGI制覇を達成したのは、2011年の阪神JFのジョワドヴィーヴル以来2度目。道中最後方でじっくり構え鬼脚を炸裂させた唯一の勝ち馬だが、注目すべきはその血統だった。
父がキングカメハメハで母はシーザリオ。オークスで母シーザリオが、エアスピネルの母エアメサイアを破った時を再現してみせたのだった。しかも、リオンディーズの兄には、菊花賞とジャパンCのGI2勝馬エピファネイアがおり、2戦目で頂点にという主役にふさわしい血統馬と言えた。
時を経て、そのエピファネイアは、現在2歳戦サイアーランキング第1位とその産駒は活躍しており、先日の阪神JF2着のステレンボッシュもエピファネイア産駒だった。
朝日杯FSには、オーサムストロークが出ている。前走、東京のマイルのベゴニア賞1着馬だが、スローペースでも2番手で折り合い、33秒3のすばらしい決め手で2連勝していた。同じワンターンの阪神でも、この戦い方が通用すると考えてもいいだろう。ベゴニア賞の1着馬は、この10年で2勝していることもつけ加えておきたい。
2歳戦のサイアーランキングから見ると、現在リーディング3位につけているモーリスも目につく存在だ。マイルGIを4勝しているモーリスだが、その産駒は、中距離まで幅広く活躍している。
朝日杯FSには複数出走してきた。2戦2勝のダノンマッキンリーと3戦2勝で東スポ杯2歳Sの勝ち馬シュトラウスの2頭に、チャンスがありそうだ。ダノンマッキンリーは2戦とも1400米だが、異なるレース運びで勝っていて、脚をためることも可能でマイルにも適応できる。シュトラウスは、父母ともにマイルGIを勝っているが、燃えやすい気性だが、外国人騎手のリレーは今回が4人目、話題にはなる。
その他では、デイリー杯2歳Sでいいレースをした2戦2勝のジャンタルマンタルに伸びシロがありそうだ。血統からタフなレースが合う。
「やったあーと 言葉をかけるの 次はいつ」