▲熊沢重文元騎手が有馬記念と中山大障害を展望!(撮影:福井麻衣子)
「引き込まれるように内に入った」メジロマックイーンに勝ったグランプリ
──熊沢さんは中山大障害よりも先に有馬記念を制覇しました。当時23歳。勝った時のお気持ちは?
熊沢 ゴールした時は「勝っちゃった」という感じでした。
──当時の実況も「これはビックリ、ダイユウサク」と。
熊沢 レースに関しては自分でも120点をあげたいぐらい。距離もロスしなかったですし、追い出しのタイミングも良くて、我ながら本当に上手に乗れたな、と思えるレースでした。
──15頭立て14番人気。断然人気のメジロマックイーンをピタッとマークする位置に道中はつけていました。
熊沢 マークしていたわけではないんです。ダイユウサクはどちらかと言うとあまり先行するタイプじゃなくて、対してマックイーンは前でレースを作っていくタイプだと思っていました。だから、道中は「あれ、こんな所でいいのかな? マックイーンが前にいる」と思っていました。でも、後でレースを見てみると、前の2頭が飛ばしていたから、マックイーンもあのポジションだったのかな、と思います。
──4コーナーもマックイーンと同じように上がっていき、直線は内に進路を取りました。
熊沢 直線はどうしようかなと思った瞬間に内がパカっと空いたので、引き込まれるように入っちゃいました。勝つ時ってそんなもんですね。遮るものは何もなくて、本当に思い通り上手くいきました。1年間で何度あるか分からないぐらいのことですけど、たまたま僕は有馬記念がいい巡り合わせになったと思っています。
──そうして内から抜け出した時、外からマックイーンも来ているのは見えましたか?
熊沢 マックイーンが先にもっと抜け出していると思ったんですけど、僕の方が脚色が良かったので「これなら勝てるかな」と思いながら追っていました。
──ゴールの瞬間はガッツポーズが出ましたね。
▲ダイユウサクを勝利に導きガッツポーズをする熊沢重文元騎手(撮影:高橋正和)
熊沢 本当に嬉しかったですね。競馬がすごく盛り上がっていた時期で、お客さんも入りきれないくらいいっぱいで、勝って見たスタンドの景色は壮観でした。歓声を送ってくれてありがたかったです。
──ダイユウサクは芝1200mでも勝ち星があった馬。有馬記念時は状態も良かったのでしょうね。
熊沢 この馬の生涯イチって思うぐらい出来は良かったです。器用な馬で、今は調教師の平田(修)さんが調教に乗っていたんですけど、人にすごく従順で思った通りに乗れた馬だったので、あの末脚を引き出すためにはそこが一番大きかったと思います。
▲「有馬記念は生涯イチの出来だった」と熊沢元騎手(撮影:福井麻衣子)
“令和のダイユウサク”の可能性はなきにしもあらず!?
──有馬記念コースはトリッキーと言われますが、どういう特徴がありますか?