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「自分が余命3カ月と言われたらどうするかなぁとか…」月10ドラマ『春になったら』が妙に沁みた日

  • 2024年01月23日(火) 18時01分
太論

▲「あれはいいドラマやわ」(撮影:桂伸也)


先週の和布刈特別で5番人気に支持されたワンダーブレットでしたが、後方追走から直線でも伸び切れずに12着。期待が大きかっただけに、小牧騎手も落胆を隠し切れない様子でしたが、返し馬の雰囲気からしていつもとは違ったとか。

今週の『太論』は、その和布刈特別の回顧と、プライベートで起こった悲しい出来事について語ってくれました。

(取材・文=不破由妃子)

人生いつ何が起こるかわからん…精一杯、生きておかなアカンで


──和布刈特別(1月20日・小倉11R・ダ1700m)のワンダーブレットは12着。ここ数戦、いい走りを見せていただけに、ちょっと残念でしたね。

小牧 なんかガックリきたね。応援してくれていた人はみんなそうだったと思う。昨日、「誠の湯」に行ったら、さっそくファンの人から「期待していたんですけどね…」って声を掛けられたわ。

──5番人気まで評価が上がってましたからね。やはり内枠(3枠3番)が響きましたか?

小牧 いや、今回はそれ以前の問題や。返し馬の時点で元気がなかったから。スタートしてから行こうか行くまいか迷ったんやけど、行ったら行ったでずっと内に包まれる形になってしまうかなと思って、もう腹を括ってね。外に出すことだけを考えながら、後ろから行ったんやけど。

──途中からポジションを上げにかかったところでは、くるかな…と思ったのですが。

小牧 脚を使えたのは3コーナーまででした。そこから反応がなくなった。今回は枠がどうこう以前に、馬がまったく走ってない。

──去年の10月から6戦、ずっと頑張ってきましたからね。

小牧 そうやね。小倉に行ったのに美味しいものも食べんと、ショックを引きずりながらすぐに帰ってきたわ(苦笑)。

──それは珍しい。

小牧 日曜日に、フチサンメルチャンの追い切りがあったから。今回、担当の厩務員さんは小倉に行けなくて、日曜日に顔を合わせたんやけど、僕と一緒でガックリきてたわ。追い切りはちょっと時計が速すぎたかなと思ったけど、僕が促したわけではなくて、馬が自ら動いた結果やったから、僕も厩務員さんも「調子がいいんやな」と思ってた。でもね、相変わらず毛ヅヤはもうひとつやし、やっぱりこの馬は暖かい時期のほうがいいのかもしれん。仕切り直しやね。

──まだ5歳ですからね。セン馬は競走寿命が長いとも言いますし。

小牧 そうやね。しかし、なかなか上手いこと行かんねぇ、人生と一緒で。今週はね、悲しいことがあったんです。何十年も前からの友達が、突然亡くなったんやわ。

──競馬関係の方ですか?

小牧 いや、ゴルフ仲間でね。最近、ゴルフショップを開いたばかりだったんやけど…。それこそしょっちゅう一緒にいた人で、LINEのやり取りも年中してた。もともと心臓が悪かったらしいんやけど、それにしても心臓発作で突然なんて…。まだ60歳くらいやし、ジョッキーの間でも顔が広い人やから、みんなビックリしてるわ。

──当たり前のように近くにいた人の突然の死というのは、なかなか受け止められるものではないですから。

小牧 うん。いまだに信じられへん。あんなに元気だったのに、人ってあっけないもんやなと思ってね。こんなふうにレースで勝った負けたと言っていられるのは、幸せなことなんやなと思った。人生、精一杯生きておかなアカンで、ホンマに。つくづくそう思いましたわ。そんなことがあったもんやから、『春になったら』というドラマが妙に沁みてね。あれはいいドラマやわ。

──木梨憲武さんと奈緒さんのドラマですね。

小牧 そうそう。62歳で余命3カ月の父親と、3カ月後に結婚する予定の娘の話でね。62歳で余命3カ月と言われたら、自分だったらどうするかなぁとか考えながら観てるんやけど、友達のことがあったから、余計にいろいろ考えさせられた。ただ、僕は長生きすると思うわ。ほら、「憎まれっ子、世に憚る」って言うでしょ?

──小牧さん、いつから「憎まれっ子」になったんですか(苦笑)。

小牧 ああ、僕は「いたずらっ子」やったわ(笑)。今はひとつも身体に悪いところはないけど、なんせ人生はいつ何が起こるかわからん。なんか「死」というものを考えさせられた1週間やったね。

(文中敬称略)
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

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