▲これからニュージーランドへ! 仁川でのトランジット時間に1枚(提供:大久保友雅騎手)
本日30日、デビュー3年目を前に、通算3勝のある若手騎手がニュージーランドへ修行に旅立ちます。彼の名は大久保友雅騎手、20歳。
彼が海を渡ってより厳しい環境に身を置こうと考えたきっかけは、三冠馬ナリタブライアンを管理した祖父の故・大久保正陽調教師から繋がる縁でした。「甘い世界じゃないけれど、競馬一家に生まれてこのままじゃいけない」と覚悟を決めた20歳の胸の内に迫ります。
(取材・構成:大恵陽子)
「NZで乗ってみないか?」ある日、かかってきた電話
──30日に日本を出発し、ニュージーランドで武者修行をすることが発表されました。ビックリしたのが正直なところなのですが、きっかけは何だったんですか?
大久保 昨年の夏、村山明先生から「NZで乗ってみないか?」と電話をいただきました。「日本で乗るのもいいけど、一度海外で修行してきてもいいんじゃないか」と。海外競馬は競馬学校時代に同期の佐々木大輔など好きな人が多くて、みんなで一緒になって海外のレースを見ていたので興味はありましたけど、自分が行けるとは思っていませんでした。
──村山調教師がきっかけをくださったんですね。大久保騎手と村山調教師とのつながりは?
大久保 村山先生は騎手時代、祖父の厩舎の馬に乗ったことがあるそうです。デビュー1年目の夏、滞在中の北海道で調教を頼まれて、レースでも乗せていただくようになりました。先週も村山厩舎の馬に乗せてもらいましたし、一番乗せていただいている厩舎です。
──村山先生は、正陽調教師から受けた恩を孫である大久保騎手に返しているんでしょうね。
大久保 僕もそれ以上に頑張らないといけません。祖父には子供の頃から色々と教えてもらいましたし、家に遊びに行くとトロフィーやレイがたくさん飾ってあって、それを見て「僕もダービーや重賞を勝ちたい」と思うようになった経緯があります。引退して何年も経っても祖父はオーラがあってすごかったです。また、村山先生がいらっしゃらなければ、僕の力だけではやっていけなかったと思うので、本当にありがたいです。
──そうした中、大久保騎手自身も思い切った決断をしましたね。
大久保 2年目だった昨年の結果が散々だったので、何か変えないといけないなとずっと思っていました。それでも何もできないでいる時、村山先生にお話をいただいて、「行くしかない!」と思いました。
▲デビュー1年目に函館で勝利を挙げた大久保騎手(撮影:山中博喜)
「5〜6月は雨で馬場が重たくなって減量騎手が乗せてもらえる」
──渡航前はどういった準備をしたんですか?
大久保 NZの競馬はちょくちょく見ていて、想像がつくようになりました。でも、自分がそこで乗っているイメージはまだないです。海外によく行かれている小崎綾也騎手や坂井瑠星騎手にもお話を聞いたりしています。