▲須田鷹雄氏と矢作芳人調教師のスペシャル対談第2回(C)netkeiba
独自の手腕で国内外問わず数多くのビッグレースを勝利するなど日本競馬を牽引する矢作芳人調教師と、東大卒で唯一無二の存在感を放つ競馬評論家の須田鷹雄氏が、競馬界の課題に斬り込むスペシャル対談。
第2回のテーマは「地方と中央」について。両組織の本音や様々な障壁、改革をすすめるために必要な条件など熱い議論を繰り広げます。
そして「本当の究極は“一本化”」と語る矢作師がこれからを担う若手に期待することとは──。
前回はこちら▼
「上位厩舎も下位厩舎も同じ給与」競争原理の働かない旧式の厩舎システムでいいのか(第1回)(構成=須田鷹雄)
一番の障壁“既得権”を崩す一手は“馬の交流の活発化”
須田 地方の話も出ましたけど、「地方と中央」というのも先生がお話しになりたいテーマだと伺っております。
矢作 厩舎システムのことを言っても、地方と中央ということに関しても、僕が言うことはあまり現実的ではないなとは分かっているんですが、現実的ではないけどもそういう方向性を持った考え方を続けていくことが大事だと思う。
いまだにね、令和のこの世で「中央競馬と地方競馬と元々の成り立ちが違うから」って言う人がいるけども、そんなこと今の競馬ファンは誰も知らない。だから、本当の究極は一本化です。本当の究極はね。それはもう、夢物語で現実的ではないかもしれないけど、やはりそういう方向性に向かっていかないと、さっき言った競争原理に関しても実現しづらいと思います。
須田 騎手免許が手を付けやすいところなのかなと思うんですが、JRAからしたら公正問題などで、自分たちがコントロールできない人間にあまり敷居をまたがせたくないという本音はあるでしょう。
矢作 もちろんですね。
須田 ただ、若いときに受けた試験の種類で一生、戦うフィールドが決まっちゃうのは、さすがにかわいそうだと思う。逆に中央で売れていなくて、「やっぱ競馬乗りたいな」と思う人が地方に行くという選択肢があってもいいはずですし。調教師も、各地区のトップクラスの調教師でも、ずっとその地区にいるしかない。
海外だったらより大きな海に出ていくし、出て行って失敗したらまた戻ってきてということもあるじゃないですか。何か手を付けるとしたらまずそこだと思いますね。
矢作 免許。
須田 全員ということでなく、一部騎手で両方乗れる免許とか。
矢作 ダブルというよりも