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【特別対談】藤岡佑介騎手×川田将雅騎手(2) 「将雅じゃなかったら絶対に勝ってない」同業者が明かす、繊細すぎて伝わらない川田騎手の“技”とは?

  • 2024年02月08日(木) 18時01分
“VOICE”

▲佑介騎手から見た川田騎手の凄みとは(撮影:稲葉訓也)


昔は激しく馬を動かし、最後の直線にすべてを懸けるタイプだったという川田騎手ですが、佑介騎手は「気付いたら誰よりも繊細に、丁寧に乗ってくるジョッキーになった」と証言します。

競馬のなかで馬を育てていく──。川田騎手の緻密な作業は「将雅じゃなかったら絶対に勝ってないなと思える競馬がいくつもある」と“同業者”に言わしめるほど群を抜いているそう。そんな、繊細すぎて見ている側には伝わりにくい“技”とは?

佑介騎手が特にトップジョッキーの凄みを感じたレースを振り返りながら、その全貌を紐解きます。

前回はこちら▼
「本当にトップに立ちたいと思ってる?」──思わずハッとした8年前の佑介騎手の言葉(第1回)

(取材・構成=不破由妃子)

「ただ勝つだけではなく、何かを得ながら次につなげていく」


──8年前に『with佑』で対談した際、佑介さんが「ハープスターに乗っている頃はピリピリしていて、さすがに話しかけづらかった」とおっしゃっていたのが印象的ですが、リバティアイランドと三冠ロードを歩んだ昨年の川田さんもそういう雰囲気がありましたか?

佑介 いえ、全然。あの頃とは踏んできた場数が違いますし、何より自分に対する自信と「やるべきことをやるだけ」というジョッキーとしての完成度が当時とは違いますから、まったく心配するようなことはなかったですね。最近思うんですけど、乗り方も馬に対するアプローチの仕方も、将雅ほどイメージが変わってきたジョッキーってあんまりいませんよね。もともとはガシガシ激しく馬を動かしてくるというタイプだったのに、気づいたら誰よりも繊細に、丁寧に乗ってくるジョッキーになっていた。ここまで変化できるジョッキーって、なかなかいないなって。

川田 それはやっぱり、松田博資厩舎で学んだことが大きいかな。とにかく頑張って、最後の直線もとにかく必死に追えばいいと思っていた乗り方を完全に否定されたからね。そこからの変化の延長線上に今がある。

佑介 ここ数年、とくに思うのは、競馬のなかで馬を育てていく、能力を引き上げていくということに関しては、ちょっと群を抜いているなということ。

“VOICE”

▲「ここまで変化できるジョッキーはなかなかいない」(撮影:稲葉訓也)


──具体的にどういうところを見てそう思うのですか?

佑介 一番わかりやすい例で言うと、去年のオークスです。将雅はあえて位置を取りに行くというリスクを取った。僕だったらもっと後方に下げて、勝負どころでも一番外を回していたと思います。あの着差(6馬身差)を思うと、それでも勝っていたとは思うんですけど、僕のそのアプローチの仕方だと、秋華賞は取りこぼしていた可能性もあった。オークスでちゃんとポジションを取るという攻める競馬をして、直線もしっかり動かし切って勝たせたからこそ、秋華賞も怖がることなく自信を持って乗れて、三冠につながったんじゃないかなって。

川田 一戦ごとにまだまだ学ばなければいけない時期で、ましてや桜花賞が結果としてああいう競馬になってしまったから。

佑介 最後方から、というね。

川田 桜花賞は、デビュー後からゆっくり穏やかに走ることを教え続けて、覚えてくれた結果、ゆっくり走り過ぎてしまった。でも、オークスまでの調整過程で気持ちの変化は確実に大きくて、じゃあオークスでは何ができて、そのなかで何を学んで、次につなげていくことができるかを考えた。当然、勝たなければいけないんだけど、完成された馬ではない以上、ただ勝てばいいというものではなく、何かをしっかりと得ながら次につなげていかなければならない。というところも踏まえての競馬だったね。

“VOICE”

▲「オークスでは何ができて、何を学んで、次につなげていくことができるかを考えた」(撮影:稲葉訓也)


佑介 めちゃめちゃ難しいことをやってるよな。走る馬で

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1985年10月15日、佐賀県生まれ。曾祖父、祖父、父、伯父が調教師という競馬一家。2004年にデビュー。同期は藤岡佑介、津村明秀、吉田隼人ら。2008年にキャプテントゥーレで皐月賞を勝利し、GI及びクラシック競走初制覇を飾る。2016年にマカヒキで日本ダービーを勝利し、ダービージョッキーとなると共に史上8人目のクラシック競走完全制覇を達成。

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