ガイアフォースが「二刀流」を実現 芝・ダート両方で大物を出すキタサンブラックの仔
血統で振り返るフェブラリーS
【Pick Up】ガイアフォース:2着
父キタサンブラックは、年度代表馬イクイノックス、皐月賞馬ソールオリエンス、青葉賞馬スキルヴィングなどの父ですが、ダート戦でも20%を超える連対率を記録しており、このレースに出走したウィルソンテソーロ(ダートグレード競走3勝)のような大物も出しています。東京ダ1600mの成績は優秀で、通算[3-3-4-10]、勝率15.0%、連対率30.0%、複勝率50.0%です。
母ナターレは、デビューから引退まで地方競馬で走り、戸塚記念、しらさぎ賞、クラウンカップといった重賞を制覇しました。母の父クロフネは東京ダ1600mで1分33秒3という驚異的なレコードタイムを樹立しています(コース改修により現在のレコードタイムはデシエルトの1分33秒5)。一族からはダート短距離重賞を8勝したリミットレスビッド、アンブライドルドの父として知られる名種牡馬ファピアノも出ています。
緩急のきくタイプではありませんが、それだけにダート向きの持続力に恵まれ、安田記念で4着と健闘しているように左回りのマイル戦にも適性がありました。
ダート路線のトップ層がサウジアラビアに遠征しているので、GIにしては少し軽めのメンバー構成だったのもよかったのでしょう。初ダートがフェブラリーSだった馬の最高着順は、2001年のトゥザヴィクトリーが記録した3着でしたが、ガイアフォースはこれを上回りました。
血統で振り返る京都牝馬S
【Pick Up】ソーダズリング:1着
母ソーマジックは現役時代に桜花賞で3着と健闘しました。繁殖牝馬としての能力は非凡で、ソーダズリングのほかにマジックキャッスル(愛知杯)、ソーヴァリアント(チャレンジC2回)が重賞を勝っています。さらに、エプソムC2着のソーグリッタリング、新馬-菜の花賞を連勝中のミラビリスマジックが出ています。
「ハーツクライ×シンボリクリスエス」は、ベルラップ(京都2歳S)、カフジプリンス(阪神大賞典2着)、タイセイトレイル(アルゼンチン共和国杯2着)などと同じ。一見、長めの距離が向きそうな血統ですが、ソーダズリングのファミリーはイギリスのスプリンター血統をベースとしており、2代母スーアは伊1000ギニー(G2・芝1600m)を勝ったマイラー。スピード値が高く、なおかつソーダズリング自身は気性の勝ったタイプ。マイル以下の速い流れが向いているのでしょう。晩成型の血統が花開いてきた感があり、何より追って味があるので、もし仮に高松宮記念に出てきたら侮れません。
知っておきたい! 血統表でよく見る名馬
【ゴーンウェスト】
大種牡馬ミスタープロスペクターは、無数の後継種牡馬を残し、ノーザンダンサー系に対抗する大父系を築きました。ゴーンウェストはその一頭。伯父にノウンファクト、大伯父にエタン(シャーペンナップの父)を持つ良血がモノをいい、種牡馬として大成功を収め、産駒はアメリカだけでなくヨーロッパでも活躍しました。リバティアイランド、ドウデュース、タイトルホルダー、ソールオリエンスといったトップホースはこの血を抱えており、年を経るごとに血脈の重要性が増している感があります。高いスピード能力が最大の持ち味で、父系はザフォニック、イルーシヴクオリティ、スパイツタウンなどを通じて発展。わが国ではタワーオブロンドン、マテラスカイ、フィレンツェファイア、インティといった種牡馬が供用されています。
血統に関する疑問にズバリ回答!
「ノーザンファームが推している今年産駒デビューの新種牡馬は?」
推す熱量は分かりませんが、単純に生産頭数で見た場合、以下の順位となります(ノーザンレーシング名義を含む)。
1位サートゥルナーリア 37頭
2位アドマイヤマーズ 22頭
3位ナダル 21頭
4位ルヴァンスレーヴ 16頭
4位フィエールマン 16頭
産駒数が最も多いサートゥルナーリアは、エピファネイアやリオンディーズの弟で、現役時代に皐月賞とホープフルSを勝ちました。成功する可能性が高いだろうと誰もが考えるとおり、ノーザンファームは質の高い繁殖牝馬を送り込んでいます。
注目は4位タイのフィエールマン。ノーザンファーム生産馬ではあるものの、ほかの種牡馬と違い社台スタリオンステーションではなくブリーダーズ・スタリオン・ステーションに繋養されています。にもかかわらずこの頭数ですから、ノーザンファームによるサポートが手厚い証拠です。社台スタリオンステーションのキャパシティは限られているので、今後このようなタイプが増えてくるのではないかと思います。