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【栗田徹調教師】#栗田厩舎の美馬女 ククナがラストラン──中山牝馬Sで「もうひと花咲かせてあげたい」

  • 2024年03月03日(日) 18時01分
今週のFace

▲中山牝馬Sに出走予定のククナを管理する栗田徹調教師(撮影:下野雄規)


中山牝馬Sに出走予定のククナ。その強さはもちろん、かわいらしいルックスでSNSを賑わせたアイドルホースがラストランを迎えます。

6歳となった今年初戦の中山金杯では、ククナ自身3度目となる重賞2着。レース後には脚元に腫れが見つかったそうですが大事には至らず、中山牝馬Sに向け調整も順調。

ラストランでの重賞初制覇へ、意気込みとメッセージをいただきました──。

(取材・文:デイリースポーツ刀根善郎)

前走時に打撲も…腱に損傷はなく「不幸中の幸いでした」


──年明けの中山金杯は8番人気ながら2着に好走しました。エリザベス女王杯10着以来のレースでしたが、戦前から手応えはあったのでしょうか。

栗田 今までは寒い時季になると冬毛が伸びる子でしたが、毛を刈った様子がないのに毛足が短く、この時季としては毛ヅヤが良かったのです。そういう意味でも体調の良さを感じながら厩舎に戻ってきたのを覚えていますね。

 また、どちらかというと硬さが出やすいタイプだったのですが、この時は動きに柔らかみがあって今までにない感じでした。いつものように調教で動いていましたし、その中でも硬さがなかったので、いい印象を持ちながらレースに送り出せましたね。

──レースでは中団を追走しながら、直線は馬群をさばいて伸びてきました。この一戦はどのようにご覧になりましたか。

栗田 ヨーイドンの競馬になり、この馬の瞬発力が生きる展開になってくれましたね。1コーナーでゴチャついたのですが、戸崎騎手がうまく対応してくれました。もっと大ごとになってもおかしくない状況のなか、うまく騎手がサポートして、その後も上手に立ち回ってくれました。勝利までもう一歩でしたが、いつも一生懸命に走ってくれる子ですし、本当に頑張ってくれましたね。

──前走後に打撲で腫れが見つかったそうですが、その後の経過はいかがでしょうか。


栗田 1コーナーのアクシデントで脚をぶつけていたようです。ぶつけた箇所が腱だったので、心配してエコー検査を何度も行ったのですが、腱自体に損傷がなかったのは不幸中の幸いでした。放牧先のノーザンファーム天栄の方でも確認していただき、問題ないという判断の上で乗り進めてもらいました。

 そういうことがあって一度少し緩めたので、普通だったら体調が落ちてもおかしくない状況でしたが、毛足が伸びたりとかもなく、本当に前走と同じような感じで帰ってきましたね。毛ヅヤも良く、動きに柔らかみがあるままでした。ぶつけた箇所に腫れが残っている部分はあるのですが、歩様には問題が出ていないので、レースに向けて問題なく進めていける感じです。

──20年8月のデビューからこれまでの競走生活を振り返って、思い出深いレースなどはありますか。

栗田 クラシックに乗せるのはどの馬でも大変なことで、そのなかでもオークス(7着)は一瞬、「オッ」と思わせるようないい競馬をしてくれました。ただ、最も印象に残っているレースは、1年4カ月ぶりに勝利を挙げた早春S(23年2月)ですね。いい競馬はするけど勝ち切れないレースが続くなかで、距離を今までとガラッと変えて正攻法の競馬で勝ってくれたのはうれしかったですよ。やはりオープンに行くのと行かないとでは全然違いますから。

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▲栗田師が最も印象に残っていると話す早春Sでの勝利(撮影:下野雄規)


──大きな怪我もなく、デビューから安定して活躍してきたククナですが、1番の成長点はどんなところですか。

栗田 本当に大きな怪我をせずにここまで来てくれましたね。ただ、少し硬くなりやすい子でしたし、若い頃はレースを使った後の回復に時間がかかっていました。スクむこともあったのですけど、それは年を重ねるにつれて徐々に解消されていきましたね。そういった意味でも体質面が一番成長したのだと思います。

 お母さんのクルミナルが脚元の不安で早い時期に引退してしまったので、デビュー前から気を付けて接していましたし、いつも放牧から戻ってくる頃には疲れていた部分も解消されていたので、牧場の方でもしっかりとケアしてもらっていたのだと感じています。

──そんなククナのストロングポイントや長所はどんなところですか。

栗田 やはり気持ちの強さと瞬発力ですね。長く脚が使えないので歯がゆさを感じるレースもあったのですが、最後の切れ味は素晴らしいものがあります。

ククナの性格は「ちゃんと自分を持っている、いいところ出のお嬢さん(笑)」


──栗田厩舎のインスタでは#栗田厩舎の美馬女と投稿されていましたが、かわいい、美人だとファンからも評判です。普段はどのような性格でしょうか。

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▲「#栗田徹厩舎の美馬女」ククナ(撮影:下野雄規)


栗田 馬房の中では静かにしていますね。ただ、体や脚元を触ったり馬房に入ったりするときに気がそぐわなかったら耳を絞るなど、人を近付けさせないような気の強さも持っています。担当者も近寄っちゃいけない時と近寄っていい時はわかっているので、そこはちゃんと理解しながら接してあげていますよ。

 ですが、何もないときは本当に目がクリクリとしていてかわいい子です。外の様子をうかがう姿を見ても、ちゃんと自分を持っている感じですね。いいところ出のお嬢さんという感じです(笑)。

──近くで見ていてどのようなところがかわいいですか。

栗田 長いまつげと目の輝きですね。顔に模様がないのでなおさら目立つのですが、本当に目がクリッとしています。厩舎スタッフからも「かわいい」と言われていますよ。

──とてもファンの多い馬ですが、ファンからのメッセージは届いていますか。

栗田 ファンから多くの手紙が来ましたし、その中に写真も入っていました。タイトルホルダーだけでなく、ククナにもたくさんのメッセージが届いていましたよ。厩舎スタッフも担当者も応援してくださる人の声は、直接聞けませんから、もちろん励みになりますよね。そういう手紙をもらった時にこの馬の人気を実感します。

──中山牝馬Sがラストランになります。ククナを応援しているファンに向けて、最後にメッセージをお願いします。

栗田 ここまで大きなケガもせずに走ってくれて、クラシックも経験させてくれました。オープンまで来てくれたので、最後にもう1つという思いは強いです。前走はアクシデントがあるなか頑張ったので心配したのですが、ここに向けて順調に来ています。いいお母さんになってほしいので、本当にもうひと花咲かせてあげたいですね。もちろん無事に帰ってくることが前提になるのですが、それにプラスして結果も伴えば、と思っています。

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▲「最後にもうひと花咲かせてあげたい」(撮影:下野雄規)


(文中敬称略)

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ジョッキーや調教師など、毎週“旬”な競馬関係者にインタビュー。netkeiba特派員がジョッキーや調教師、厩舎スタッフなど、いま最も旬な競馬関係者を直撃。ホースマンの勝負師としての信念から、人気ジョッキーのプライベートまで、ここだけで見せてくれる素顔をお届けします!

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