▲「勝たせてあげられなかったという事実が情けない」サウジCを回顧(撮影:高橋正和)
2月24日にサウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場で行われたサウジ国際競走。川田騎手は計3レースに騎乗しました。
後編となる今回は、ウシュバテソーロと挑んだサウジCの回顧。惜しくもゴール寸前でセニョールバスカドールに捕まってしまった結果に何を語るのか──。
その他、SNS等でも話題となったR.ムーア騎手とのツーショット写真の経緯や、海外での“騎乗停止ルール”についても言及しました。
前回はこちら▼
【サウジCデー回顧・前編】思いが溢れたゴール前──リメイクとともに駆け抜けた最高の瞬間【月刊 川田将雅】 (取材・構成=不破由妃子)
「差されたことはもちろんわかっていた」サウジCの惜敗を振り返る
──サウジCのウシュバテソーロはアタマ差の2着。負けてしまったとはいえ、改めて強い馬だなと思わせてくれる走りでしたね。
川田 着差が着差だけに…。勝たせてあげられなかったという事実が情けないですね。ただ、ウシュバ自身は全力の走りをしてくれて、改めてワールドクラスであることを証明してくれたと思います。
想定していたより具合も良くて、気持ちもすごく前向きで。本当にいい状態で競馬を迎えてくれました。不慣れなワンターンではありましたが、僕が「そろそろだよ」と伝えたら理解してくれて、最後まで気持ちを切らすことなく全力で頑張ってくれて。なんとか(3着の)サウジクラウンは捕まえられたのですが…。捕まえたところで、後ろから捕まるという形になってしまった。
▲ウシュバテソーロ(右)の外からセニョールバスカドール(左)が強襲(撮影:高橋正和)
──ゴールした瞬間、差されたことはわかったのですか?
川田 もちろんです。ジョッキーカメラを見てもらうとわかると思うんですけど、直線の大半は内側のほうを気にしながら乗っていて、ゴールの少し前に一瞬だけ外、右に視線が切り替わるタイミングがあるんですよ。で、そこからゴールまでは、ずっと下を向いて追っている。
──右に視線を切り替えたというのは…。
川田 気配を感じたから。感じて、確認して、勢いでは向こうが勝っていることがわかったので、なんとかゴールまで粘り込めるよう、より真っ直ぐ走ることに特化して、ウシュバの動きをもうひとつ作るという作業に切り替えた。
──それが下を向いてからの時間ということですね。
川田 そうです。ウシュバは最後まで本当によく頑張ってくれたんですけど、残念ながら勝ち切ることはできなかった。心身ともにいい状態で競馬を迎え、しっかりと走り切ってくれたのに。だからこそ、勝たせ切れなかったことが本当に残念です。それとひとつ、(坂井)瑠星の騎乗停止について、言及しておきたいことがありまして