海外遠征でも昨年以上の結果を期待したい
金鯱賞を連覇したプログノーシス(撮影:高橋正和)
6歳プログノーシス(父ディープインパクト)の、期待を上回る圧勝だった。勝利騎手インタビューで川田将雅騎手が「仕上がりに心配な面もあり、決して万全の状態ではない不安もあった」と振り返ったが、それを振り払う完勝だから素晴らしい。
このあとは昨年2着だった香港の「クイーンエリザベス2世C(4月28日)」に向かう可能性が高いが、休み明けで激走した反動がなければ、初の海外遠征で昨年は2着だったビッグレースで昨年以上の結果が出せると思える。6歳馬ながら、まだ13戦【7-2-2-2】。迫力十分の身体つきは若く、活力にあふれている。全7勝中の5勝が2000m。
母ヴェルダ(GB)のファミリーは欧州タイプの典型なので、札幌記念の独走が示すように、少しパワーの求められる芝はまったく心配ない。母の父Observatoryオブザーヴァトリーは2000年の英G1クイーンエリザベス2世S(アスコット8F)を制した記録がある。
1番人気に支持された2023年の菊花賞馬ドゥレッツァ(父ドゥラメンテ)は勝負どころの反応が鈍く5馬身差の2着にとどまった。これで2000m【2-1-1-0】。必ずしも距離不足というわけではないが、今回のレース全体の流れは「58秒4-59秒2」=1分57秒6。最初から息の入れにくいきつい流れの2000mを経験していないことが痛かった。
今回のように最初から速いペースのレースは有利ではないのだろう。馬体、状態は素晴らしく良かった。次走は天皇賞(春)3200mを展望することになるが、圧勝した菊花賞3000mの中身はほとんど自身でペースを支配したような展開で「60秒4-64秒1-58秒6」=3分03秒1だった。ああいう形になれば優れた総合力とスタミナが全開する。天皇賞(春)での巻き返しに期待したい。
2年2カ月ぶりの出走になった6歳ヨーホーレイク(父ディープインパクト)の3着は実に見事だった。屈腱炎の長期休養を克服した関係者がすごい。同じ金子真人オーナーのカネヒキリ(父フジキセキ)が屈腱炎で2年4カ月も休んで再発を克服しながら復活した例があるが、屈腱炎の治療技術はさらに進展したに違いない。ヨーホーレイクはまだこれで8戦【3-1-2-2】。
カネヒキリは6歳秋に復帰し、それから8歳まで大事に出走してGI格3勝を含み【4-3-1-1】と大活躍した驚異の記録がある。ヨーホーレイクはこのまま無事なら「大阪杯に向かう」展望がある。奇跡のカネヒキリに続きたい。
白毛の8歳馬ハヤヤッコ(父キングカメハメハ)が懸命に差を詰めて1秒1差の4着。1分58秒7は自身の2000mの最高タイム更新で、ドゥレッツァと0秒3差だった。函館記念や、12月の中日新聞杯ならまだまだやれる。来年の金鯱賞にも出走したい。
コース実績を買われて3番人気になった5歳ヤマニンサルバム(父イスラボニータ)は、休み明けとあってちょっと立派に映る馬体もあったが、先行タイプがそろって強気に出た前半1000m通過58秒4の厳しい流れに巻き込まれたのが誤算。行きたがって少しかかり気味の先行になってしまった。
4番人気のノッキングポイント(父モーリス)は、流れに乗っているように見えたが、まだキャリアが浅いためか、経験の乏しいコーナーの多いコースで、他馬(馬群)を気にしていたように映った。