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「(武)豊くんは喜んでくれてた」衝撃の会見から2週間──仲間からの大きな反響と猛勉強の日々

  • 2024年04月24日(水) 18時01分
太論

▲大きなチャレンジを控える小牧太騎手の心境に迫ります(撮影:大薮喬介)


先週は、ヤルキゲンキフトシとともに福島に参戦。「福島は今日が最後になるかもなぁ」と思いながら乗っていたとか。

ご存じの通り、地方の騎手免許試験に挑むことが発表された小牧騎手。試験の日まで3週間を切り、最近は勉強漬けの日々だとか。今回の『太論』では、あの会見以降の周囲の反応を中心に、前代未聞のチャレンジを敢行する心境に迫りました。

(取材・構成=不破由妃子)

地方騎手免許の一次試験まで2週間と少し「猛勉強しますわ」


──先週は、ヤルキゲンキフトシが3カ月ぶりに実戦復帰。結果は8着でしたが、行きっぷりが改善されていたような。

小牧 頑張ったね。4コーナーを回るときは、「これなら着はあるわ」と思ったくらい。ただ、バテてはいないんやけど、最後まで同じペースで走っている感じで。まぁ休み明けでプラス6キロやったし、もうちょっと絞れれば次はもっと走れると思うわ。ローカルの長い距離がいいね。

──先日は福島の芝2000mでしたが、それこそ福島の芝2600mとか。

小牧 そうやね。でも、僕自体がもう福島に行く機会がないかもしれん。先週も「今日が最後になるかもなぁ」と思いながら乗ってたわ。

──そうですね。その話をしなければなりません。衝撃の会見から約2週間、周囲の反響はいかがですか?

小牧 思った以上にみんなから「頑張ってください!」と声を掛けてもらってます。今日も仕事に出たら、全然話したことがないような子たちからも温かい言葉をもらってね。なかでもやっぱり、同じくらいの年代のスタッフたちはすごく応援してくれている。ただね、第三のジョッキー人生というより、まずは「一次試験の勉強大丈夫?」って心配されてるわ(笑)。

太論

▲4月11日に行われた記者会見で地方騎手免許への挑戦を発表(撮影:大薮喬介)



──あ、そうでした。すっかり受かった気になっていた(笑)。

小牧 試験はこれからやで(笑)。(武)豊くんは喜んでくれてたね。「その手があったか!」みたいな感じでビックリしとったけど。新聞のコラムにも僕のことを書いてくれてたわ。川須とか仲のいい子らにも言ってなくてね。「帰っちゃうんや…」みたいな感じやった。

──そうか。応援したい気持ちと寂しい気持ちで複雑なジョッキーも。

小牧 寂しいと思ってくれているかどうかはわからんけど、まぁ和気あいあいと仲良くやってきたからね。でも、まずは一次試験を通らないことには。落ちたらまだJRAにいるんやし。

──そうだ。また受かった気になってた(笑)。一次試験、もうすぐですよね?

小牧 うん、5月11日。もうすぐや。

──最近は、勉強漬けの日々を送っているんですか?

小牧 やってるよ。移動の新幹線のなかでもずっと勉強してた。書いて覚えることが多いから大変や。漢字は書けないし、手は痛いしで(笑)。朝は今まで通り調教に行っているけど、帰ってきてから勉強や。それ以外の時間は、体を維持するためにもよく歩いてる。エアロバイクも漕いでるしね。体力が落ちたら話にならんからね。どうなるにせよ、維持はしとかな。

──園田で8頭に騎乗された4月11日は、私も現地で応援していましたけど、まったく年齢を感じさせない騎乗でした。なにしろ、8戦1勝2着3回3着2回ですから。

小牧 8頭なんて最近は乗ってないから、さすがに疲れたわ。恥ずかしいところは見せられへんと思っていたから、余計にしんどかった。その前に6頭乗った日もそうやったけど、恥ずかしいところは見せられへん、まだ乗れるんやっていうところをアピールせなと思っていたから。そうじゃないと、移籍したところでみんな乗せづらいやん。まぁアピールできたかなと思ってるよ。

太論

▲年齢を感じさせない騎乗で園田7Rを見事勝利(撮影:大薮喬介)



──パドックでもレースでも、小牧さんへの声援がすごくて。ああ、やっぱりここが小牧さんの原点なんだなぁとしみじみ思いました。

小牧 声援は僕にもよう聞こえた。ありがたい話や。でもね、確かに園田は原点やけど、在籍期間はJRAのほうがもう長いんやで。

太論

▲ファンにサインを求められる場面も(撮影:大薮喬介)



──そうなんですよねぇ。先日の会見では、去年から移籍について考えていたと。誰かからの助言があったとかではなく、加矢太さんに障害専門ジョッキーへの道を切り開いたときのように、本当に小牧さんの自身の閃きなんですか?

小牧 そうやで。まぁ以前から師匠の曾和先生とかには「こっちに戻って乗ればいいやん」と言われていたんやけど、まったくそういう気はなくて。辞めたら何をしようかなぁって、そればっかり考えてた。でも、ふと「乗れるんやったら…」と思ってね。ある日突然決めたんですわ。

──その後、まず相談したのはJRA? それともNAR?

小牧 最初に相談したのは主催者の園田です。その後、JRAにも話して、そこからNARにも話がいって。栗東の公正室に行って話したんやけど、最初はJRAの職員さんもビックリしてはったわ。

──前例がないことですからね。

小牧 改まって行ったから、たぶん引退するっていう話だと思ってたんやろうね。最後は「応援してます」って言ってくれたよ。JRAの職員さんも、僕の年齢が年齢やから、もう後がないことをわかってくれたんやと思う。とにかく、一次試験まであと2週間とちょっと。猛勉強しますわ。

太論

▲決意を胸に第三のジョッキー人生へ(撮影:大薮喬介)



(文中敬称略)
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

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