【天皇賞(春)】3200mの長丁場 混戦のレースは“人馬の絆”に注目
前哨戦から導く近年の好走傾向とは
春の天皇賞の魅力は、3200米という長い距離にある。もとめられるものが多く、スタミナ、緩いペースでも我慢が利く精神力、一気に流れが速くなったときに対応できる瞬発力やスピード、様々だ。
そこで重視したくなるのが、人馬の絆だ。どんな局面になろうとも人馬が一体になって打開していく力、それは、これまでのレースのみならず、普段のトレーニングを積み重ねる中でも培われる。
こうした見所の多い春の天皇賞だが、距離が長いだけに、そのポイントとなる前哨戦はいくつかに集約されるのは当然で、阪神大賞典を筆頭に、日経賞、大阪杯といったところから、前年の菊花賞や有馬記念の実績も生きてくる。それらで実績のあるものはここでは人気になるし、1番人気馬の連対率は高いのも当然と言っていいだろう。6年続いたこの流れは、昨年は断たれたが、1番人気のタイトルホルダーが右前脚の跛行で競争を中止せざるを得なかったので止むを得なかった。それでも、前年の菊花賞3着馬で、前走阪神大賞典1着のジャスティンパレスが2番人気で勝ったのだから、流れは変わっていないと考えていい。
この5年を振り返ると、菊花賞馬の活躍が特に目立っている。2年前の1着馬タイトルホルダー、その前のワールドプレミア、そして4年前のフィエールマンは春の天皇賞連覇でやはり3歳秋には菊花賞を勝っていたのだから、3000米で成果を挙げた実績は、特に重くみるべきだ。
その点、今年のドゥレッツァにまず関心が集まる。3馬身半差で制した昨年の菊花賞の再現をと燃えている。抜群の切れ味に持久力と、本領発揮の場になってもおかしくない。前走の金鯱賞は5馬身差をつけられて2着。連勝は5でストップしたが、4ヵ月半の休み明けに加え、メンバー最重量59キロなら仕方なく、ひと叩きされて力みが取れた今度は、ステイヤーとして花咲かせるのではないか。
そして、これと相対するのが、阪神大賞典、その前のダイヤモンドSと連勝しているテーオーロイヤルだ。3000米以上で5戦3勝、2、3着1回ずつ。2年前の3着のリベンジを狙っている。特に阪神大賞典では3番手から抜け出して5馬身差と、右後肢の骨折で11ヵ月の長期休養から完全にV字回復してみせた。ずっとつきっきりの菱田裕二騎手ともども悲願の初のGI制覇へ燃えている。二人三脚で歩んできた成果をみせるときだ。
強豪2頭がそびえ立つ春の天皇賞だが、レースに面白味を加える存在として、牝馬のサリエラとレースをリードしそうなマテンロウレオを少し。牝馬はこの10年で11回出走し3着が一回あっただけだが、ダイヤモンドSクビ差の2着のサリエラなら武豊騎手の手綱ともども楽しめる。そして長丁場はレースをつくるベテラン騎手に期待できるので横山典弘騎手のマテンロウレオのレース振りにも。
「胸を打つ 人馬の絆 春の盾」