▲23年日本ダービーで旅立ったスキルヴィングを忘れない(撮影:下野雄規)
2023年、日本ダービーに出走したスキルヴィング。青葉賞覇者として臨んだ大舞台で多くのファンが見守る中、突然天へと旅立ちました。
「1年前に走ったスキルヴィングのことを少しでも思い出してもらえたら...」とお話しいただいたのは、担当として寄り添い続けた岡本卓也助手(木村哲也厩舎)。“忘れることはない”同馬への想いと、共に過ごした思い出を伺いました。
(取材・文=馬切もえ)
今でもGIを観ると「もしもここにスキルヴィングが出ていたら...」
──初入厩は2歳の夏。デビュー戦は秋の東京でしたが、当時の印象は?
岡本 大人しい馬でしたね。手入れなども楽で、優等生なイメージでした。一方で人間が乗ってものんびり屋さんで正直、走ることに対してあまり前向きではない感じもありました。
──そんな中でも新馬戦で2着して、続く未勝利戦を快勝しました。
岡本 その頃もまだ印象は変わらなかったです。変化を感じたのは3戦目のゆりかもめ賞あたりからですね。
▲「変化を感じた」という23年2月ゆりかもめ賞(撮影:下野雄規)
──どのように変わってきたのでしょう?
岡本 調教に対する取り組みが変わってきました。人にうながされなくても、自分から動けるようになったというか...。
──昨年の日本ダービーの“ゆるい出馬表”では「内気な性格だったのが、社交的になってきた」とおっしゃっていましたね。
岡本 はい。馬房の奥に引きこもっていたのが、外に顔を出すようになったりして...。性格がポジティヴになるにつれて、調教でも頑張り屋さんになり、レースにおけるパフォーマンスも上がっていきました。
▲23年日本ダービーのゆるい出馬表で掲載された2ショット(撮影:馬切もえ)
──3連勝でGII青葉賞を制し、むかえたのが日本ダービーでした。