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JRAでの騎乗は残り1か月...小牧太騎手の心境は?「なにしろ引退するわけじゃない」

  • 2024年06月25日(火) 18時01分
太論

▲JRAから園田への移籍まであと1か月...小牧太騎手の気持ちとは(撮影:大薮喬介)


先週は、土曜日の京都4Rでテクノドラゴンに騎乗して10着。抜群の行きっぷりで好位を追走しているように見えましたが、ご本人は「下手に乗ってしまった」と反省しきり。どうやら師匠の曾和先生にも怒られたそうで…。はたして後悔が残ったというレースの中身とは⁉

また、出演していたラジオの中継ブースから見た宝塚記念の感想、残り1カ月となった現在の気持ちを明かしてくれました。
(取材・構成=不破由妃子)

久々に曾和先生に怒られた…「あんな乗り方をしていたら、園田にきても勝てんぞ!」


──先週のテクノドラゴンは10着(京都4R・3歳未勝利)。好スタートから道中も行きっぷりがよくて、前走までとは違う走りを見せてくれましたけどね。

小牧 いやぁ下手に乗ってしまった。あんなに下手に乗ったのは久しぶりや。スタートは良かったから、3番手の外につけようと思ったんやけど、それ以上馬が行かなくてね。そうしたら中途半端に馬と馬の間に入ってしまって、中途半端に引っ掛かって…。

──途中で外に出しましたよね。
小牧 そう、ごっつ外に出してしまって。久しぶりに怒られたわ。

──怒られた? どなたに?

小牧 曾和先生に。曾和先生を通じて乗せてもらった馬だったんですわ。それで最悪に乗ってしまったもんやから、「あんな乗り方をしていたら、園田にきても勝てんぞ!」と久々に怒られてしまった。僕自身、下手に乗ったことがわかっていたから、「すみません」と謝りました。3番手を取れなかったこともそうやけど、取れなかったのであれば、そこでジッとしておけばよかった。返し馬の時点で「いい感じやな」とは思っていたけど、まさかあんなに行きっぷりがいいとは思わなくてね。

──最初にも言いましたが、確かに前走までとはイメージが違いましたね。

小牧 うん。過去のレースを見る限り、全然ついていかんような印象だったから。まぁとにかく下手に乗りましたわ。未勝利馬なのにね。本当に申し訳ないことをしてしまった。僕にとっても最後の京都やったのに、後悔を残してしまった。

──日曜日は、ラジオ(ラジオNIKKEI第2「中央競馬実況中継」)にゲスト出演されて。競馬場の実況ブースからレースを見ていたんですよね?

小牧 初めて一番上からGIを見たけど、すごいね、歓声が。乗っているときの聞こえ方とまた違うというか、それ以上に響いてくるね。お客さん、いっぱいやったもん。

──新鮮な感動があったのでは?

小牧 なんかね、ジョッキーってカッコいいなと思った。改めて、すごい仕事やなって。

──全体を見渡せる位置から宝塚記念を観戦されたわけですが、小牧さんの目にはどんなふうに映りましたか?

小牧 やっぱり馬場に左右されたね。あの馬場が上手な馬が勝ったということ。最後にあそこまで外に行ったのは、手応えがあったからこそやと思うし。手応えがなければ、外を選ばんからね。まぁよかったよね、菅原くん。初GIやもんね。

──天皇賞(春)の菱田騎手、ヴィクトリアマイルの津村騎手、そして宝塚記念の菅原騎手と、新たに3人のGIジョッキーが誕生したシーズンでした。さて、いよいよ今週から夏の小倉が始まります。小牧さんにとって、JRAで騎乗する最後の1カ月になりますね。

小牧 そうやね。今週の日曜日は小倉やけど、土曜日は福島やねん。

──あ、福島でしたか。

小牧 大井から移籍してきたスタードラマーという馬で行きます。フチサンメルチャンの馬主さん(中西功オーナー)の馬です。当然ダートしか走ったことがないんやけど、調教の動きがいいから、最初は芝を使ってみようと思ってね。

──バーデンバーデンCに登録していますね。

小牧 そう、バーデンバーデンC。ゲートはあんまり速くないかもしれんけど、スピードはある。楽しみやね。日曜日は、ヤッホーキリシマが小倉芝1200mでデビューします。見栄えのする馬やけど、追い出してからの反応がまだもうひとつ。併せ馬では、同じ週の土曜日に川須でデビューするナントカナルニャに負けてしまった。まぁ一度使ってみてどうかやね。それにしても、7月21日の小倉が最後だとすると、もう1カ月を切ったよ。

──衝撃の移籍宣言から、もう2カ月半も経ったんですね。早いなぁ。そういえば、「中央最後の日は、なにかセレモニーがあるんですか?」という質問がきてましたよ。

小牧 そんなに大きなものではないと思うけど、なにかしてくれるみたい。僕の場合、引退するわけじゃないから引退式とも違うし。どういう内容なのかは、まだわからんね。

──では、最後にユーザーからの質問をひとつ。「中央競馬で小牧太騎手を応援できるのも、残り約1カ月となりました。園田に行かれても引き続き応援させていただくつもりですが、やはり寂しい気持ちがあります。小牧さんは今、どんな気持ちですか? 1カ月のあいだにやっておきたいことはありますか?」

小牧 まだ実感が湧かないというのが正直なところやね。寂しい気持ちになるのかどうか…。それも想像がつかん。なにしろ引退するわけじゃないし、育った場所に戻るわけやから。僕自身より、周りの厩務員さんとかが「寂しいなぁ」ってよう言ってくれてるわ。とりあえず、この1カ月はね、お酒もできるだけ控えて、体を鍛えていこうかなと思ってる。向こうに行ってから恥ずかしい思いをしたくないしね。残り1カ月、一戦一戦全力で乗るのは当然として、移籍に向けて体作りをしていこうと思ってる。

──これまでもストイックに取り組まれてきましたが、調教にしろ、レースにしろ、仕事量が増えるのは間違いないですからね。

小牧 うん。だから、今以上に体力をつけておかなと思って。今はまだ飲んだくれているけど(笑)7月に入ったらできる限りお酒を控えて、節制して鍛えていこうと思ってます。

(文中敬称略)
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

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