▲松田大作元騎手の独占取材は後編に(撮影:桂伸也)
昨年12月、突然の引退を明らかにした松田大作元騎手。インタビュー後編では若かりし頃を振り返りながら、より深く“騎手”という仕事への想いを伺いました。
今だから感じるジョッキーとしての大切な考え方を中心に、自身の“後悔”と向き合いながら、ありのままにお話しいただきました。「これからもずっと忘れられない」騎手ならではの感情とは──。
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【松田大作元騎手・独占告白】電撃引退から半年──当時の真相と27年間の苦労を語る(前編)(取材・構成:不破由妃子)
高い評判を得た騎乗技術も「僕はそれを上手に生かせなかった」
──「周りの方には、ご迷惑とご心配ばかり掛けてきた」とのことですが、やはりあの(道路交通法違反による)半年間の騎乗停止が大きかったのではないですか? 年間の騎乗数を追っていくと、あの出来事をきっかけに明らかに変わっていたので。
松田 あれはもうめちゃめちゃデカかったです。明らかに状況が一変しましたから。競馬サークル内の人間関係が変わった感じはあまりしなかったんですけど、ジョッキーはイメージ商売でもあるので、やっぱりオーナーさんが離れていく感覚はありましたね。ファンの方たちにも、「なんだアイツ」という目で見られているのもわかっていましたし。とはいえ、全部自分でやってしまったことですからね。
ただ、あの出来事を通して、いろいろと気づけた部分もありました。本当に大切な人は誰かもそうだし、自分は人に支えられてここまできたんだなということとか。
──競馬サークル内では、寄り添ってくださった方もいたでしょうね。とくに武英智調教師は、最後まで大作さんを重用されていた。
松田 武英先生には本当に…。もう本当にお世話になりました。もともとジョッキー時代の後輩で、すごく仲がよくてね。しょっちゅう一緒に遊んでいたんですけど、彼は当時の僕に恩義を感じていたらしく、調教師になってからはずっと助けてくれました。
──義理堅い方ですねぇ。
松田 武英先生には頭が上がりませんよ。本当に心強かったです。今振り返ってみても、感謝しかないですね。
▲武英智調教師の管理馬でJRA通算18勝、写真は22年6月(c)netkeiba
──自分の弱さと向き合いながら、酸いも甘いも噛み分けてきた…といった印象ですが、そんな大作さんから後輩に伝えたいことはありますか?
松田 僕自身の後悔でもあるんですけど、やっぱり明暗を分けるのは