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【中京記念】アルナシームが重賞初制覇 横山典弘騎手らチームで掴んだ念願のタイトル

  • 2024年07月22日(月) 18時00分

最大の勝因は陣営の勝利への姿勢


重賞レース回顧

中京記念を制したアルナシーム(C)netkeiba


 近年では、2021年、2022年と同じように「中京記念(ハンデ戦)」は小倉の1800mにコースと距離を変更して行われた。ただ、その2年と大きく異なったのは、まったく同じ設定で行われた2月の「小倉大賞典1800m(ハンデ戦)」で上位を占めた「1着エピファニー、2着ロングラン、3着セルバーグ、4着アルナシーム、7着カテドラル」の5頭が、ジョッキーこそ4人が乗り替わったものの、負担重量の少々の変化だけで、そのままこの中京記念に出走してきたことだった。

 セルバーグは中京1600mの中京記念でも出走していたと思われるが、エピファニー、アルナシーム、ロングラン、カテドラルは中京のマイル戦ならおそらく出走しなかったと思われる。この4頭は「小倉の1800mならば…」の理由で、早くから夏のスケジュールに組んでいた大きな目標のレースだった。

 結果、その4頭に割って入った上位馬は、マイルよりは距離が合うと考えられた実力馬エルトンバローズ(3着)と、小倉3戦3勝の巧者ニホンピロキーフ(5着)だけ。

 自分の形にしたいセルバーグ(父エピファネイア)がいたので、レース展開はほぼ予測されたハイペースだった。小倉大賞典の前半1000m通過は「57秒2」。今回の中京記念のそれは「57秒5」。週中の雨の影響と、開催最終日とあって全体のタイムは小倉大賞典より2秒1遅かったが、ほとんど似たような展開だった。

 勝ったアルナシーム(父モーリス)の最大の勝因は、2走前からチェンジした横山典弘騎手と、橋口慎介調教師、担当スタッフの、チーム一丸となった周到な勝利への姿勢。3週連続して調教に乗り、行きたがる繊細な気性の対応策など万全の調整が実を結んだ。

 早くから期待されていたアルナシームの重賞初制覇は、陣営の秋に向けたさらに高い目標につながるはずである。横山典弘騎手は、自身の持つJRA重賞最年長勝利記録を、56歳4カ月29日に更新した。

 続く12Rには、園田への復帰が決まっていた小牧太騎手(横山典弘騎手と同じ56歳)が乗っていた。12番人気の伏兵で勝利を決めた鞍上の執念もすばらしいが、最終日の最終レースにモズアカボス(GI馬モズアスコットの半弟)をテン乗りの小牧太騎手に用意した矢作調教師はすごい。ピタリ小牧太騎手に合っていた。

 2番人気のエピファニー(父エピファネイア)は、中団追走からロスなく内から突っ込んだがクビ差及ばず2着。小倉大賞典ではアルナシームと同じ57キロのハンデだったが、今回は1キロ重い58キロ。ハンデを考えれば実力は勝ち馬と互角かそれ以上だ。

 エルトンバローズ(父ディープブリランテ)はさすがだった。3歳秋のGII毎日王冠は55キロの負担重量と展開に恵まれた印象もあったが、今回は59キロのハンデ頭を考慮して、4コーナー手前から早めに一気のスパート。1着、2着馬とはハンデと微妙なスパートのタイミングの差だけ。秘める底力を再認識させた。

 小倉大賞典を57キロで0秒2差の2着だったロングラン(父ヴィクトワールピサ)は最後方からの追走。1番外を回って上がり最速の35秒9で伸びたが、今回も0秒2差。あとワンパンチ足りなかった。だが、ベストの1800mだと崩れない。

 4歳馬ニホンピロキーフ(父キタサンブラック)は、マイルから2000m級までこなせる万能タイプだが、成長して本格化するときマイル巧者になりそうな気もした。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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