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【矢作芳人調教師】“走る馬”はどう選ぶ? 名伯楽に聞く血統・馬体・外国産馬の見極め方──

  • 2024年07月23日(火) 18時02分
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▲矢作芳人調教師の相馬眼に迫る!(c)netkeiba


数々の名馬を手掛け、世界中のセリに参加する矢作芳人調教師。今回netkeibaでは、話題のセレクトセール2024を振り返りながら、“馬選びの極意”を伺いました。

コントレイル産駒の良さや日本競馬で求められること、外国産馬・当歳の選び方、印象的な管理馬など...様々な角度から質問! 矢作師は血統について「母系は○○重視」と言い切ります。最後には一口馬主など、悩める競馬ファンへのメッセージも。 言わずと知れた名伯楽の“相馬眼”に迫ります──。

(取材・文:松山崇)

コントレイル産駒が高い人気を集める理由


──まずはセレクトセールお疲れ様でした。今年は289億1800万円(税抜)を売り上げる大盛況となりましたが、矢作先生の目にはどう映りましたか?

矢作 今年というよりも、ここ2〜3年の特徴として、新しいプレイヤー、しかも高額を出すようなプレイヤーが増えていますよね。世界のセリに比べると圧倒的に日本人の購買層が厚く、そして購買意欲が強いのも特徴です。

 国際化が進んで、実際に新しい外国人バイヤーが増えているのですが、世界的にみればまだ微々たるもので、彼らに話を聞くと一様に「高過ぎる」と。かつて著書等でセールのセオリーについて書いたこともあるけれど、セレクトセールの場合は「セオリーが通じないのがセオリー」という感じかな(苦笑)。なかなか経済合理性に照らした適正価格で落とすのは難しいです。

──3億7000万円(税抜)で落札されたカリーナミアの2024については廣崎オーナーが「矢作調教師が『これだ!』と言うのでトコトン競りました。最高の馬だと思います」とのコメントがありました。

矢作 嬉しいよね。ここまで廣崎オーナーの馬で大きな成果を出せているわけではないのに、本当にありがたいことです。この価格で元を取ろうと思ったら大変なことで、“夢”を買ってもらうようなもの。

 ただ、カリーナミアは16年の米G1エイコーンSを勝っている名牝で、馬体も欠点らしい欠点は見当たりません。血統も馬体も素晴らしく、まさに“夢”を追うのに相応しい馬。オーナーと一緒に日本ダービーを狙いたいですね。

──セレクトセールではコントレイル産駒が1億超え9頭(平均価格9976万円(税抜))と高く評価されました。矢作先生からみた、コントレイル産駒の特徴、人気を集める理由を教えてください。

矢作 (種牡馬として)大成功すると確信しています。セリで高く評価されている理由を探るなら、“揃っている”という表現がしっくりくるかな。

 特徴は皮膚の薄さとバランス。そして脚曲がりなどの決定的な欠点を抱えている馬が少なくレベルの高い馬が“揃って”います。コントレイルに似た程よいサイズ感、そして歩かせると柔らかみのある動き。例えばキズナは素晴らしい種牡馬ですが、歩かせると硬く映る産駒が少なくありません。成長とともに解消されていくので問題ないのですが、それでも購買側としては、実際に目の前で見たときに動きが柔らかい方が安心感はありますよね。

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▲種牡馬コントレイルは「大成功すると確信しています」(撮影:下野雄規)


「億劫がっていては成功は掴めません」馬選びに大切なこと


──さてここからは本題の“相馬眼”について伺っていきます。矢作厩舎といえば外国産馬、それも日本には合わないのではという血統の馬も活躍しています。なにか極意はあるのでしょうか?

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