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シンリョクカが新潟記念を制覇! サトノダイヤモンド産駒のニックス配合を解説

  • 2024年09月02日(月) 18時00分

血統で振り返る新潟記念


【Pick Up】シンリョクカ:1着

 サトノダイヤモンド産駒の重賞勝ち馬は、サトノグランツ(京都新聞杯、神戸新聞杯)に次いで2頭目。

 母レイカーラはターコイズS(OP)の勝ち馬で、ダノンシャーク(マイルCS、富士S、京都金杯)の半妹にあたる良血。下河辺牧場が誇るカーラパワーのファミリーです。

 サトノダイヤモンドは、キズナ、コントレイル、シルバーステート、リアルスティールなどと同じディープインパクトの後継種牡馬。母方にカーリアンを持つ配合はニックスで、勝ち上がり率61.5%、連対率23.1%、1走あたりの賞金額429万円。サトノダイヤモンド産駒全体は、それぞれ33.3%、15.4%、140万円なので、明らかにニックスといえるでしょう。本馬の他に、前出のサトノグランツや、CBC賞(GIII)2着のスズハロームが出ています。

 下河辺牧場はサトノダイヤモンドと相性抜群で、これまでに出走した8頭の生産馬のうち6頭が勝ち上がり、本馬の他に3歳牝馬の大器オーロラエックス(現2戦2勝/ビヨンドザファザーの半妹)が出ています。

 サトノダイヤモンドは昨年まで社台スタリオンステーションに繋養されていましたが、今年からリアルスティールと一緒にブリーダーズ・スタリオン・ステーションに移りました。種付け料は初年度(2019年)の半額の150万円。ちなみに、同所を運営する株式会社サラブレッド・ブリーダーズ・クラブの代表取締役は、有限会社下河辺牧場の代表取締役でもある下河辺行雄さんです。

血統で振り返る小倉2歳S


【Pick Up】エイシンワンド:1着

 父ディスクリートキャットは、オオバンブルマイ(京王杯2歳S、アーリントンC、ゴールデンイーグル=1着賞金約5億円の豪州レース)、エアハリファ(根岸S)などの父。ストームキャット系のアメリカ血統で、芝・ダート兼用のスピードタイプ。パワーを秘めるだけあって道悪適性が高く、馬場状態別の芝連対率は、良=11.4%、稍重=14.5%、重=18.9%、不良=22.2%。コンディションが悪化するにしたがって上昇しています。

 また、中京芝コースを得意としており、連対率25.6%は全10場の芝コースのなかで最も優れています。

 今年の小倉2歳Sは、中京競馬場に場所を移して行われ、なおかつ台風の影響で重馬場でした。エイシンワンドにとっては2つのファクターが追い風となったというわけです。

 もちろん、デビュー戦を好内容で勝っているように、条件に恵まれたから勝てた、というわけではありません。本馬は「ディスクリートキャット×タイキシャトル」という組み合わせですが、母方にタイキシャトルを持つディスクリートキャット産駒は、他にニシノカシミヤ(オープンクラス)が出るなど、勝ち上がり率、連対率、1走あたりの賞金ともディスクリートキャット産駒全体の成績を大きく上回っています。同産駒は息の長い活躍をする仔が目につくので今後が楽しみです。とりあえず来年3月のファルコンS(中京芝1400m)はおもしろそうです。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬


【エンドスウィープ】

 1998年に初年度産駒が2歳戦で33頭勝ち上がり、新種牡馬の北米新記録を樹立しました。自身は米G3を勝った程度の競走馬でしたが、父が米2歳牡馬チャンピオンのフォーティナイナー、母が米G1を勝ったブルームダンスという良血がモノをいい、種牡馬として成功しました。

 5年目の種付けシーズン終了後に日本にやってくると、ダート向きの評価を覆してアドマイヤムーン(ジャパンC、宝塚記念、ドバイデューティフリー)、ラインクラフト(桜花賞、NHKマイルC)、スイープトウショウ(宝塚記念、秋華賞、エリザベス女王杯)といった芝向きの大物を出し、なおかつ距離の融通性も見せました。サンデーサイレンス牝馬との相性が抜群で、このパターンは芝を苦にせず距離的な融通性のある産駒を出す原動力となりました。

 アメリカで誕生したサウスヴィグラス(JBCスプリント/父の初年度産駒)、プリサイスエンド、スウェプトオーヴァーボードといった後継種牡馬は、フォーティナイナー系らしいダート向きの特長を備えています。ダート向きのこれらのラインと、芝向きのアドマイヤムーンとで、父系のタイプは二分されています。いずれにしてもスピードが持ち味です。

血統に関する疑問にズバリ回答!


「アメリカで種付け料が一番高い種牡馬はどの馬ですか?」

 2024年の種付け料は、イントゥミスチーフとカーリンが25万ドル(約3600万円)で並んでいます。もう1頭、プライベート扱いですが、ガンランナーも25万ドルといわれています。つまり、イントゥミスチーフ、カーリン、ガンランナーの3頭が横並びで25万ドルの最高価格となります。

 イントゥミスチーフは2019年以降、5年連続で北米チャンピオンサイアーの座にあり、今年も2位以下を大きく引き離して首位を独走しています。それを考えると、最高額とはいえ横並びに甘んじているのは不思議な気もします。

 ちなみに日本では、メタマックス、ソニックスターなどJRAで出走した32頭の産駒のうち25頭が勝ち上がっています。勝ち上がり率はじつに78%。これは驚異的な数字です。しかし、重賞勝ち馬はまだ出ていません。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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