オークスからの直行馬が最近7年間に6勝
秋華賞を制したチェルヴィニア(c)netkeiba
伏兵セキトバイーストが飛ばして先導したレース全体の前後半1000mは、「57秒1-60秒0」=1分57秒1。極端な前傾バランスになった。
ただし、中間地点で先頭から大きく離れて追走していたチェルヴィニア(父ハービンジャー)の前半1000m通過は、推定60秒0前後。その直後にいた3着ステレンボッシュ(父エピファネイア)のそれは60秒台前半、さらに2頭を見ながら後方にいた2着ボンドガール(父ダイワメジャー)の前半はおそらく60秒台後半になる。
人気のチェルヴィニアなどにとって、明らかに飛ばしすぎのセキトバイースト、2-3番手にいたクリスマスパレード(父キタサンブラック)、タガノエルピーダ(父キズナ)は怖い相手ではなくなり、スパートのタイミングと、コース選択の勝負になった。
C.ルメール騎手のチェルヴィニアは、有力馬の中ではもっとも前方でペースを読みながらレースを進めることが可能になり、スペースができそうな位置を探してラストスパートを決めた。人気馬を前に見ながら後方一気を選択したボンドガール(父ダイワメジャー)は、不利を受けない外に回るコース取りを選択して大外強襲。そのボンドガール、これで通算成績【1-4-1-1】。1勝馬ながら、2着4回はすべて重賞。上がり3ハロンは3戦連続最速という不思議なオープン馬となった。
ステレンボッシュは、本当はチェルヴィニアより前に位置したかったはずだが、外枠でダッシュもう一歩。チェルヴィニアをマークする位置になっては、もう途中で自分から動くわけにはいかない。後方でスペースを探さなければならない立場になってしまった。
ローズSを完勝して3番人気のクイーンズウォーク(父キズナ)は、スタートでつまずく大きな不利。向正面で動いたのは、ライバルのいた馬群はスローにも近いペースだったので決して強引な進出ではないが、最初から自身のリズムを崩した結果、最後の直線はもうムリはできなかった。
また今年もオークス上位馬と、レースの評価急上昇の紫苑S好走馬が3着までを独占し、順当に5番人気以内の馬が上位を占める結果となった。
これで10年連続して秋華賞の勝ち馬は、オークス「1、2、3着」馬か、紫苑Sの「1、2着」馬に集中する結果となった。また、関東の所属馬が上位3着までを占めたのは、アパパネが勝った2010年以来、秋華賞史上2度目になる。
少し前まで、桜花賞1600mとオークス2400mのちょうど中間距離2000mの秋華賞は、マイルの桜花賞上位馬と、オークスの上位馬がほぼ互角の良績を残してきたが、近年は2400mのオークス上位馬と、9月の2000m紫苑Sで上昇を示した上がり馬が結果を残す図式が鮮明になってきた。さらには、調教技術の格段の進歩で出走スケジュールが大きく変わり、オークスからの直行馬が最近7年間に6勝もする結果となった。
休み明けでも、勝ったチェルヴィニアの馬体と気配はすばらしく、また、追い切りの動きうんぬんをささやかれたステレンボッシュもこれ以上はない仕上がりだった。追い切りは平凡だった2着ボンドガールの当日の気配も絶好。みんなトレーナーランキング上位の成績を誇る厩舎だけにさすがだった。