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【ゴージャス×久野豊調教助手】「ほら、触られに来るんですよ」ゴールドシップ産駒の“甘えん坊”がファンタジーSへ!

  • 2024年10月27日(日) 18時01分
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▲ファンタジーSに出走予定のゴージャスと担当する久野豊調教助手(撮影:大恵陽子)


ピンクの鼻先と真っ白な馬体のゴージャス。母サトノジャスミンから受け継いだ白毛はとても珍しく、注目を集めるゆえか「人に慣れている」のだとか。

快勝した新馬戦に続き、ファンタジーSでコンビを組むのは浜中俊騎手。実は、ゴージャスを担当する久野豊調教助手(四位洋文厩舎)とは共にジョッキーを目指した仲間でした。白毛馬ゴージャスの素顔、そして浜中騎手との絆について、久野豊調教助手に伺いました。

(取材・構成:大恵陽子)

「一緒に乗馬をした後は競馬場で遊んでいた」浜中騎手との初勝利


──デビュー前から担当されているとのことですが、第一印象は?

久野 入厩してくる前から当歳時の写真や、一口クラブ・ローレルレーシングさんから届く近況が大仲に置いてあって、「白いな」と見ていたんですけど、まさか僕が担当するとは思っていませんでした。実際に見ても写真の通り白くて、なんだか可愛いなと思いました。

──鼻先や目の周りがほんのりピンク色で、綺麗系というより可愛い系牝馬のような気がします。

久野 触っている時の感じがすごく可愛いんです。ゴールドシップ産駒とは聞いていたので「どんな感じかな」と思っていたんですけど、白いから小さい頃からたくさんの人に触られてきたのかな、と。あくまで僕の予想ではあるんですけど、人間に慣れているから、もしかしたらそうじゃないかなと思っています。

──白毛は珍しいですから、自然と人も集まってきそうですし、牧場でたくさん愛されてきたのかもしれませんね。

久野 白毛馬の宿命みたいな感じじゃないでしょうか。

──調教でも可愛い系ですか?


久野 乗っている時は、いい意味でも悪い意味でも真面目すぎます。真面目は真面目なので、調教コースに行きたくない、ということはなくて、走りたい気持ちが勝っちゃっています。

──調教コースに行くと、つい速く走りたくなっちゃうんでしょうか。

久野 走ることが好きなんだと思います。

──デビュー前から追い切りで好タイムを連発していましたよね。

久野 そうなんですよ。意図して出したわけじゃなくて、前に前に行く気持ちがあったからです。2歳牝馬なので抑えようと思えば抑えられましたけど、コントロールしすぎるのもどうかな、と僕の中で考えました。人間の指示と馬の気持ちのバランスを取った方がいいのかな、と感じたので、指示された時計の範囲内で馬の気持ちを害さないよう心がけました。

──そうして迎えた新馬戦は直線で何度か手前を替えながらも4分の3馬身差で勝利を収めました。

久野 気持ちだけで走っている感じで、体ができてくるのはまだまだ先だと思います。

──当日の競馬場では注目度も高かったのでは?

久野 すごかったです。新馬戦にしてはファンが多かったですし、「ゴージャス、かわいい」という声も聞こえていました。だから勝った後は「ファンにしっかり見せた方がいいかな」と思ってウイナーズ・サークルで観客席の方に向いて見せたりしていました。この馬は愛されるべき馬ですよね。僕はマネージャーみたいな感じです。

──大物タレントのマネージャー(笑)。ファンレターとかも届きますか?

久野 クラブの方から手紙や、入厩時には「無事を祈っています」といったメッセージとともにお守りを受け取りました。デビュー戦を勝って、ローレルレーシングの会員さんも喜んでいる姿を見ると、「よかったな」と思いました。この馬はいろんな人の思いを背負っていますね。

──騎乗した浜中俊騎手とは小倉競馬場の乗馬センターで切磋琢磨していた仲なんですよね?

久野 そうなんですよ。年齢は僕の方が2歳上なんですけど、全く同じ時期に乗馬センターに入って、ずっと一緒に乗馬をして、終わった後も競馬場で遊んでいました。元々は僕もジョッキーを目指していたので、GIがあれば二人で「あれ、すごかったね」とよく話していました。だから、ハマと一緒に勝てて嬉しかったです。これまでも乗ってもらってはいたんですけど、なかなか勝つまではいかなかったんです。

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▲「ハマと一緒に勝てて嬉しかったです」特別な初勝利に(c)netkeiba


──少年時代に一緒に目を輝かしながら競馬を見ていた二人がコンビを組んで勝つなんて、格別ですね。

久野 僕はスペシャルウィークが好きで、当時はサラブレッドのカードが売っていたんですよ。乗馬の後にハマと一緒に競馬場に行ってそれを買って、どの馬が出たか見せ合いっこしていました。

──その後、一旦は別々の道を歩んだように見えても、またこうして巡り合ったんですね。

久野 馬の仕事をしていたらハマの活躍は見られるので、騎手デビューしてからは心から「頑張れ!」って気持ちで見ていました。だから、ハマがリーディングを獲ったり、初めてGIを勝ったりした時は本当に嬉しかったです。僕が牧場を経てトレセンに入ってきた時も最初に食事に連れて行ってくれて、変わらずに接してくれました。

──そんなお二人だと、ゴージャスについても意思疎通が図れるのでは?

久野 僕も言いやすいし、ゴージャスに関しての大体の意見は同じでした。前進気勢が強すぎるから、一度レースを使ったら行きっぷりはもっと良くなるだろうね、と。「まだ2歳だし」とハマも言っていて、僕も言ってくれた方が助かります。

「ほら、触られに来るんですよ」ゴージャスが好きなモノは?


──いま四位調教師がやって来られて「美味しい草、もらったか?」と声をかけながら青草をあげたり撫でたりしていましたね。

四位洋文厩舎に関するコラムはこちら▼
【四位洋文調教師(4)】「未だ“四位洋文”に緊張!?」厩舎スタッフにアンケート取材

久野 触られることはすごく大好きですね。

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▲ゴージャスに青草をあげにきた四位洋文調教師(撮影:大恵陽子)


──これだけ白いと、気を使いませんか?

久野 汚れていたら逆に僕の方が気になってしまって、全休日でもたまに洗ってあげた方がいいのかな、と思ってやっています。休みの日まで洗われて、馬は嫌かもしれないですけど。

──好きなことは?

久野 やっぱり触られることが好きですね。特に顔。今日は追い切り終わった後だけど…。ほら、触られに来るんですよ。

■取材中にも構ってもらうゴージャス(提供:四位洋文厩舎)

──顔を撫でてもらっている間も、自分からもっと顔を寄せていて、可愛いです。苦手なことは?

久野 あんまりないですけど、まだ子供なので同じ場所でじっとしていると、飽きてきて嫌になっているように思います。

──さて、次走はファンタジーSで200mの距離短縮となります。

久野 距離短縮は問題ないと思っています。まだ2走目なのでレースがどうなるかは僕もまだ分からないですけど、確実に言えることは「一生懸命に走るだろうな」っていうことです。走ることが好きですからね。

──少年時代から共に汗を流してきた浜中騎手と重賞に挑む、というのもいいですね。

久野 もちろん嬉しいです。ハマの親も僕の親もお互いに知っていますし、地元の友達や乗馬センターで一緒に乗っていた人たちは「おっ!」と思ってくれているのかな、と。周りの方が騒いでいるかもしれませんね(笑)。

(文中敬称略)

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