【エリザベス女王杯】リピーターが好走傾向 3年連続参戦のライラックに注目
府中牝馬S組は巻き返しに期待
今年のエリザベス女王杯には、一昨年の秋華賞馬スタニングローズと、昨年のホープフルSを勝ったレガレイラの2頭しかGI馬が出ていない上に、今年の秋華賞組は一頭も出ていない。昨年3歳馬でローズS2着から秋華賞を見送ってエリザベス女王杯を勝ったブレイディヴェーグは、今年はマイルCSに目標を定め、牝馬二冠のチェルヴィニアは、ジャパンCに出走する予定で、牝馬のトップクラスは不在となれば、俄然混戦で、狙いをどこに定めるか難しいレースになった。
この10年で波乱を生んだ馬を見ると、有力な前哨戦のひとつ府中牝馬S組が上位に喰い込んだケースが目につく。それも1、2着ではなく、それ以上の成績からの巻き返し組だ。3年前にエリザベス女王杯を勝った4歳馬のアカイイトは、府中牝馬S7着からステップアップしていたし、それ以前では、2017、18、19年と3年連続して2着にきていたクロコスミアが忘れられない。4歳時に最初に2着にきたときは、前走の府中牝馬Sはオープン入り最初のレースで勝っていたが、ここでは9番人気の低い評価だった。続く年は府中牝馬S5着でやはり9番人気、3年目のレースはこれも5着からの巻き返しで2着にきたが、やはり7番人気と評価は高くなかった。このクロコスミアの激走は、どれも先行、逃げによって生み出されていたが、この3戦とも1000米の通過タイムが、62秒0、61秒4、62秒8とスローペースだった。
京都外回りの長距離戦はペースはそう速くはならず、3角を回ってからの下り坂から一気にペースが上がるという特長がある。ゆっくり先行し、速くなる後半でぐっと我慢が効くタイプ、ステイゴールド産駒のクロコスミアがそういう馬だったことで、3年連続の2着の成績につながったと考えられる。
こうしたコースの特長から、これを得意とする馬のリピートがみられることが多い。
今年のメンバーを見ていると、一昨年2着で昨年が4着の5歳馬ライラックの存在が目を引く。オルフェーヴル産駒で、3年目の今年のレースでは、精神面の成長が期待され、前走の大敗から人気は低いが、普段ケイコをつけてきた石川騎手の初めての本番騎乗から、新しい面が見られるかもしれない。
この5年で2勝している3歳馬は、今年はレガレイラ1頭しか出走して来なかった。だがこの馬は、これまで牡馬相手のレースばかり走ってきて、ホープフルSの優勝がさん然と光っている。皐月賞6着、日本ダービー5着だったが、どちらもメンバー最速の上がりをマークしていた。初めての牝馬重賞ローズSの5着は案外だったが、位置取りが悪く最後までこれが響いていた。力負けではないので、今回は違う。
先行勢の中では昨年3着のハーパーの変わり身に。オークス2着、秋華賞3着の実力馬で、武豊騎手の手腕に期待したい。
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