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“キングカメハメハ産駒初”のエリザベス女王杯制覇 復活V遂げたスタニングローズの血統背景を深掘り

  • 2024年11月11日(月) 18時00分

血統で振り返るエリザベス女王杯


【Pick Up】スタニングローズ:1着

 一昨年の秋華賞以来となる2つめのGI制覇です。その秋華賞は、今月末のジャパンCに出走を予定しているスターズオンアースの牝馬三冠を阻止したものでした。この世代の牝馬は、他にナミュール、ママコチャ、ナムラクレアなどが出ており豊作です。

 父キングカメハメハはこの世代がラストクロップ。意外にもエリザベス女王杯は初制覇です。牝系はローザネイを牝祖とする“薔薇一族”に属しています。このファミリーはローズキングダム(ジャパンC、朝日杯FS)以降、しばらく活気に乏しかったのですが、スタニングローズにより復活を果たし、最近ではゼルトザーム(函館2歳S)、ヴィブラフォン(スパーキングレディーC3着)などが出ています。

 ローズキングダムとスタニングローズは、同じくキングカメハメハを父に持ち、母同士が親仔(ローズキングダムの姉がスタニングローズの母)なので、4分の3同血の関係です。

「キングカメハメハ×クロフネ×サンデーサイレンス」の組み合わせは、前週のアルゼンチン共和国杯を勝ったハヤヤッコと同じ。両者は牝系が違うだけで3代にわたって同じ種牡馬を交配しており、8分の7同血の関係です。

血統で振り返るデイリー杯2歳S


【Pick Up】ランフォーヴァウ:1着

 父ロードカナロアはJRAの2歳種牡馬ランキングで第7位。勝利数の9勝は、1位キズナの23勝に比べると半分以下ではあるのですが、重賞勝ち馬は両馬とも2頭ずつで並んでいます。先週、ファンタジーSを勝ったダンツエランに続き、2週連続の重賞制覇となります。2歳牝馬がデイリー杯2歳Sを勝ったのは2016年のジューヌエコール以来8年ぶりとなります。

「ロードカナロア×ディープインパクト」の組み合わせは、ブレイディヴェーグ(エリザベス女王杯、府中牝馬S)、レッドモンレーヴ(京王杯SC)、ファンタジスト(京王杯2歳S、小倉2歳S)、ボンボヤージ(北九州記念)、アスクワンタイム(小倉2歳S)と同じ。2歳戦では連対率31.6%と抜群の強さを発揮しています。

 この組み合わせの牝馬は馬体が小さく出る傾向があり、出走全馬の平均馬体重は438kg。ここがウィークポイントではあるのですが、今回のランフォーヴァウは450kg。2歳でこのサイズですから、平均よりは大きめに出ています。母キネオダンサーが大柄な馬だったので、その影響でしょう。

 ちなみに、1歳の半弟(父ニューイヤーズデイ)は、ウインレーシングクラブの2次募集にかけられており、ストリートクライ2×3という大胆なインブリードを持っています。

知っておきたい! 血統表でよく見る名馬


【ハーツクライ】

 現役時代にディープインパクトを破って有馬記念を制覇し、ドバイSCを4.1/4馬身差で圧勝しました。

 種牡馬としては、ドウデュース、スワーヴリチャード、ジャスタウェイ、リスグラシューなど多くの名馬を出しています。サンデーサイレンスの後継種牡馬のなかで、JRAの通算勝利数はディープインパクトに次ぐ第2位。JRAの平地重賞勝利数、同GI勝利数ともディープインパクト、ステイゴールドに次ぐ第3位。サンデー系種牡馬の代表的な存在です。

 スタミナ豊富で東京芝コースに強く、基本的には晩成タイプ。後継種牡馬のスワーヴリチャードが初年度から華々しい活躍を見せており、サイアーラインとしての発展も大いに期待されます。

 母の父としては年度代表馬エフフォーリアを出しています。福島記念を勝ったアラタも母の父がハーツクライ。7歳にして重賞初制覇を果たした晩成傾向は、ハーツクライに由来する部分が大きいと思われます。

血統に関する疑問にズバリ回答!


「チャリンの父ダークエンジェルについて教えてください」

 マイルCSに出走予定のイギリス調教馬チャリンは、今年6月にクイーンアンS(英G1・芝8ハロン)でG1初制覇を果たすと、ジャックルマロワ賞(仏G1・芝1600m)、クイーンエリザベス2世S(英G1・芝8ハロン)も制し、欧州マイル路線のトップランナーに躍り出ました。

 父ダークエンジェルは、日本でも産駒がコンスタントに走っており、マッドクール(高松宮記念)、シュバルツカイザー(キーンランドC4着)、ダークペイジ(オープンクラス)など、出走16頭中11頭が勝ち上がっています。全28勝中26勝を芝で挙げており、その全てが1600m以下。日本の高速馬場に対応可能なスピード血統といえるでしょう。

 チャリンは8月に行われたジャックルマロワ賞で、60kgを背負いながら1分33秒98の好時計で快勝。このタイムは同レースの歴代3位に相当します。硬い馬場への対応力をすでに示しているので、体調面の問題さえなければ、マイルCSのパフォーマンスにも期待できます。

 ちなみに、現時点でダークエンジェルは英愛種牡馬ランキングの首位を走っています。これから年末にかけて、平地競馬は賞金の安いオールウェザー競馬が中心となるので、初の英愛チャンピオンサイアーの座につくことはほぼ確定的です。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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