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有終の美を飾ったレモンポップ 血統背景からも種牡馬としての活躍に期待大

  • 2024年12月02日(月) 18時00分

血統で振り返るチャンピオンズC


【Pick Up】レモンポップ:1着

 父レモンドロップキッドはアメリカのクラシックレースのひとつベルモントS(G1・ダート12ハロン)を含めてG1を5勝。その母チャーミングラッシーは大種牡馬エーピーインディの4分の3同血(父が同じで母同士が親仔)という良血で、キングカメハメハやエルコンドルパサーと同じくキングマンボを父に持ちます。この系統は芝とダート、距離の長短に関して融通性があるのが特長で、キングカメハメハなどはその万能性を体現した種牡馬でした。レモンドロップキッドもよく似ており、芝、ダート、オールウェザーでそれぞれ複数のG1馬を誕生させています。

 レモンポップは「レモンドロップキッド×ジャイアンツコーズウェイ」という組み合わせ。この2頭はいずれも芝・ダート兼用タイプですが、レモンポップ自身は重心の低い筋骨隆々とした馬体なので、ダート向きの資質が表れています。2代母ハーピアは大種牡馬デインヒルの全妹。こうした血が入ることにより大レース向きの底力が補われています。

「父レモンドロップキッド、母の父ジャイアンツコーズウェイ、母方の奥にダンジグ」という配合構成は、スピンスターS(米G1・ダート9ハロン)を勝ったロマンティックヴィジョンと同じです。

 レモンポップと同じくレモンドロップキッドを父に持ち、母方にストームキャットを持つアポロキングダムは、現役時代に下級条件馬だったにもかかわらず、種牡馬になると上々の成績を残しています。決して優れているとはいえない繁殖牝馬を相手にJRAの勝馬率が40%を超えているのは見事です。来年から供用されるレモンポップには、それよりもはるかに上等な繁殖牝馬が与えられるはずなので楽しみです。

 ちなみに、アポロキングダムの代表産駒アポロビビ(さきたま杯4着)は、母方にレモンドロップキッドの近親エーピーインディが入るので、チャーミングラッシー≒エーピーインディ3×3という4分の3同血クロスが生じています。注目したい配合パターンです。

血統で振り返るステイヤーズS


【Pick Up】シュヴァリエローズ:1着

 ディープインパクト産駒の優勝は2019年のモンドインテロ以来5年ぶり2頭目。1着の回数は少ないのですが、2着4回、3着2回なので、連対率31.6%、複勝率42.1%と優秀な成績です。

 母ヴィアンローズは3歳時にノネット賞(仏G3・芝2000m)を勝ちました。このレースは夏のドーヴィル開催に組まれている3歳牝馬の重賞で、6月の仏オークスのあと、10月にロンシャンで行われるビッグレースとの間に使ってくる馬が多いので、メンバーが揃う傾向があります。ヴィアンローズが勝ったときはG3でしたが、現在はG2に格上げされています。

 繁殖牝馬としても優秀で、これまでにJRAで走った13頭中9頭が勝ち上がっています。本馬の4分の3弟にあたる現2歳馬カザンラク(父シルバーステート)は、11月9日の東京芝1800mの新馬戦を逃げ切りました。また、シュヴァリエローズの全姉ローズノーブルは、現役時代に3勝クラスまで出世し、繁殖牝馬としてジュビリーヘッド(父ロードカナロア/函館スプリントS2着2回)を産んでいます。

 3600m向きのステイヤー、といった血統ではありませんが、GII勝ちのある地力の高さ、折り合いに不安のない優れた操縦性、そして本格的なスタミナを問われる厳しい流れにならなかったことが吉と出たのではないかと思います。最後の5ハロン「58秒9」は、1986年以降では3番目に速い上がりでした。

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【サウスヴィグラス】

 現役時代にJBCスプリントなど8つのダート重賞を制覇しました。のちに日本に輸入されることになるエンドスウィープの初年度産駒で、同馬がアメリカ供用時代に誕生させた外国産馬です。

 地方競馬における産駒成績が素晴らしく、2012年・2015〜2021年の計8回、地方の首位種牡馬となっています。2016年から2020年まで年間400勝以上の勝ち星を挙げました。ラブミーチャン、ヒガシウィルウィン、サブノジュニア、コーリンベリー、テイエムサウスダン、タイニーダンサー、ナムラタイタンなど、多くのダート巧者を出しています。

 ダート向きのスピードタイプで、鋭いダッシュ力と粘り強さが特長です。2歳戦から頭角を現し、古馬になっても活躍します。母の父としてもサントノーレを出すなど優れた影響力を発揮しています。

血統に関する疑問にズバリ回答!


「来年初供用の種牡馬にはどんなものがいますか?」

 まだ年内の競馬が終わっていないため未確定です。現時点で種牡馬入りが決まったもの、種牡馬入りするのではないかと思われるものを書き出してみます。漏れがあるかもしれませんがご容赦ください。

・ジャスティンパレス(父ディープインパクト)
・ジャスティンミラノ(父キズナ)
・シャフリヤール(父ディープインパクト)
・セリフォス(父ダイワメジャー)
・ソウルラッシュ(父ルーラーシップ)
・ソットサス(父シユーニ)
・ドウデュース(父ハーツクライ)
・ブラックブロッサム(父キタサンブラック)
・プロミストウォリア(父マジェスティックウォリアー)
・レッドベルオーブ(父ディープインパクト)
・レモンポップ(父レモンドロップキッド)

 海外からやってくる種牡馬はいまのところソットサスだけ。もちろん、まだ増える可能性はあります。

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netkeibaでもおなじみの血統評論家・栗山求氏が血統の面白さを初心者にもわかりやすくレクチャー。前週の振り返りや、週末行われるレースの血統的推し馬、豆知識などを通して解説していきます。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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