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【チャンピオンズC】レモンポップが見事な逃げ切りで連覇 鮮やかに最強のままで引退レースを飾る

  • 2024年12月02日(月) 18時00分

種牡馬としての可能性に期待


重賞レース回顧

チャンピオンズCを制したレモンポップ(c)netkeiba


 連覇を狙った6歳レモンポップ(父Lemon Drop Kid レモンドロップキッド)が、昨年のレースを再現したかのような見事な逃げ切りで「チャンピオンC」2連勝を達成した。

 今年は単勝220円の断然1番人気。マークされること必至の展開。レース終了後には「引退式」も準備されている。プレッシャーは大きかったはずだが、「腹をくくって逃げました(坂井瑠星騎手)」。ペースは速すぎず、遅すぎず、「いつものペースで走っていたら、昨年とほぼ同じペースでした」と振り返ったように、前半1000m通過は「60秒8」。昨年が「60秒9」なので、まったく同じペース。この時点で有利な展開になった。

 全体時計は異なるが、昨年の1分50秒6から、今年は1分50秒1。馬場差を考慮すればほとんどレース再生にも近い見事な逃げ切りであるが、昨年の上がりは、37秒3-12秒6。今年は36秒9-12秒7。昨年以上に粘り強い内容だった。

 国内のダート戦[13-3-0-0]。国内のGI級のレース6戦6勝。総獲得賞金は7億6千万円強。これで種牡馬入りすることが決定している。Kingmambo キングマンボ→Lemon Drop Kid レモンドロップキッド→と続くサイアーラインの種牡馬は、ビーチパトロール、アポロキングダムがいるくらいで思われているよりずっと少ない。ディープインパクト(父サンデーサイレンス)のラインとは数が異なる系統だから、相手の牝馬に制限が生じない。鮮やかに最強のままで引退レースを飾ったレモンポップは、種牡馬として成功するはずだ。自身は1800mまでが守備範囲でスピード色を前面に出すタイプだったが、産駒はもっと距離適性の幅を広げるかもしれない。また。海外遠征を好む産駒も誕生して欲しい。

 届いたかもしれない、と思わせた5歳ウィルソンテソーロ(父キタサンブラック)はハナ差及ばずの2着。レモンポップが昨年とほぼ同じようなレースを展開して勝ったのに対し、こちらは全体時計を0秒7も短縮して自己最高の1分50秒1(上がり36秒2)。5歳になって心身ともにたくましくなっていた。現在のダート界はフォーエバーヤングを筆頭にチャンピオンクラスが揃っているが、ウィルソンテソーロは、これで国内のダートGI級7戦[1-4-0-3]。さらにパワーアップして強敵相手のビッグレースを制覇したい。

 4歳ドゥラエレーデ(父ドゥラメンテ)が昨年と同じ9番人気で、着順3着まで昨年とまったく同じだった。障害戦では例があっても、平地GIでは初めてのことだった。ドゥラエレーデは、先行して粘り込んだ昨年と異なり、今回は中団でもまれ一旦は後方に下がりながら、内ラチ沿いを猛然と突っ込んで勝ち馬と0秒3差だから内容は立派だ。

 芝のGI馬(22年のホープフルS)であり、芝もダートもこなしてみせるが、最近のレース内容からはダートの方が中身はずっといい。来季は5歳になるが、芝でだけでなくダートのGIでも勝ち負けできる成長株だろう。

 3番人気で5着のペプチドナイル(父キングカメハメハ)は、上がり37秒1でまとめているので、凡走ではない。1800mも守備範囲だが、最後の伸びを欠いたあたり、南部杯や、フェブラリーSのようなワンターンに近いマイル戦がベストかもしれない。

 4番人気で6着のサンライズジパング(父キズナ)は、必ずしもハイペースではない流れを読んで、早めに自力勝負に出たが、まだ強敵相手と対戦の少ない3歳馬とあって最後は伸びきれなかった。でも「この内容なら来年が楽しみです(武豊騎手)」と、これからの成長に期待した。また、芝でも快走してきたようにもっと時計の速いダート向きと思えた。

 フェブラリーS2着の5歳ガイアフォース(父キタサンブラック)は、今回がダート2戦目。馬体は仕上がっていたが、大跳びで最外枠のため終始外を回される展開がきびしかった。長期休養明けでの挑戦も、予定通りではなかったのだろう。

 クラウンプライド(父リーチザクラウン)は、距離1800mは大丈夫だが、どちらかといえばパワー勝負歓迎の平均ペース型。今回のように後半の勝負どころから続けて12秒台前半の加速が求められる流れは合わない印象が残った。交流レース向きだろう。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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