展開不透明も伏兵多数
断然の主役だったドウデュースの急な取り消しで、レースの流れ(展開)が難しくなった。確実に勝機が増すことになった上位人気馬は、ほとんどが好位抜け出しを狙う先行型ばかり。それだけに、難しい中山の2500mの展開は読みにくい。
良馬場で、大接戦をジェンティルドンナが制した2014年の勝ち時計は2分35秒3(レース上がり34秒6)。同じような良馬場でリスグラシューの勝った2019年の勝ち時計は2分30秒5(レース上がり37秒6)だった。上がりは3秒も異なり、全体時計は約5秒も異なるレースが展開される。
C.ルメール騎手(アーバンシック)、横山典弘騎手(ダノンデサイル)は中山2500mの難しさは百も承知。前半の流れしだいだが、4角手前まではあまり勝ち気にはやって動かない可能性が高い。
だが、C.デムーロ騎手(シャフリヤール)、T.マーカンド騎手(ローシャムパーク)などの外国人騎手は、長距離2500mの小回り。抜け出してしまえば追い比べで差されない自信と、考えを持っている。ビッグレースだけに強気に動く公算大だ。
ただし、中山の3角付近からゴールまでは約800m近くある。直線には急坂もある。トップクラスの馬でも最後のゴール寸前に鈍ることが珍しくない。
海外の騎手や、大駆けを狙う伏兵が早めに動きすぎると、昨年、ドウデュースに次ぐ上がり2位の34秒4で4着に突っ込んだジャスティンパレス。さらには、直線一気で昨年のホープフルSを勝ったレガレイラの強襲があるかもしれない。
前半はスローでも途中から厳しい攻防になる可能性が高い。それでも順当だと自在型のアーバンシック、先行抜け出しを展望するダノンデサイルが抜け出すシーンが予測されるが、先行型スタニングローズ(父キングカメハメハ)のR.ムーア騎手は有馬記念【0-0-1-4】。まだ結果が出ていないので、外枠でもあり、今年はダノンデサイル、アーバンシックを見ながら進む作戦に出る可能性がある。
相手は強くなかったが、上がり「11秒7-11秒1-11秒6」で決着した好時計のエリザベス女王杯を一気に抜け出した内容から、好位、あるいは中団から差すレースも可能なはずだ。母の父クロフネは、クロノジェネシス、ジャパンCのヴェラアズール、レイパパレ、ノームコア、対戦するハヤヤッコなど、母の父となって思いがけない底力を発揮する種牡馬でもある。
当コラムの次回更新は1月4日(土)18時予定です。