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【フェアリーS】エリカエクスプレスが2戦目で重賞初制覇 レースレコードを大幅に更新する圧勝劇

  • 2025年01月14日(火) 18時00分

期待膨らむエピファネイア産駒


重賞レース回顧

フェアリーSを制したエリカエクスプレス(撮影:下野雄規)


 2番人気のエリカエクスプレス(父エピファネイア)の圧勝だった。それも1600m1分32秒8(レースの前後半45秒5-47秒3)の圧倒的なレースレコードで2着以下に3馬身差だから素晴らしい。

 冬場にしては芝コンディションが良かったのは事実だが、翌日の古馬オープンの「ニューイヤーS」を差し切った断然人気の4歳馬トロヴァトーレ(父レイデオロ)の勝ち時計が、1分32秒3(レースの前後半45秒9-46秒4)であり、ここがまだ2戦目だった3歳牝馬エリカエクスプレスは、いきなり古馬のオープン馬と遜色ない内容を示したことになる。

 近年、クラシックに挑戦のスケジュールが大きく変化し「フェアリーS」の重要性は急速に高まっている。2020年の桜花賞3着馬スマイルカナと、2021年の桜花賞3着馬ファインルージュは、フェアリーSの勝ち馬。2022年のフェアリーS2着のスターズオンアースは、桜花賞だけでなく、オークスも制している。もちろん、芝状態も、レースの流れも異なるが、近年のGI桜花賞で好走したその3頭のフェアリーSの走破時計は。みんな1分34秒0以上だった。

 2020年の三冠牝馬デアリングタクト(父エピファネイア)と同じ杉山晴紀厩舎のエリカエクスプレスは、すでにクラシック全5競走に登録済みとされる。よほど期待が大きかったのだろう。2020年のデアリングタクトに続き、エフフォーリアが大活躍を始めた2021年の春に交配されて誕生したのが、エリカエクスプレスなどの現3歳世代のエピファネイア産駒。さらに良血馬の逸材が出現しそうである。

 3戦目のティラトーレ(父リアルスティール)は、前半1000m通過57秒3で飛ばして失速したニシノラヴァンダ(父サトノアラジン)を早めに捕まえに出たため最後は鈍ったが、1分33秒3で粘ったのだから、勝ち馬には完敗でもその中身は侮れない。大跳びの迫力あるフットワークなので、タメが利くようになれば中距離戦のほうが合うかもしれない。種牡馬リアルスティール産駒は芝向きの産駒も、フォーエバーヤングなどダート向きの産駒も送り一段と評価を高めている。

 3着に突っ込んだ伏兵エストゥペンダ(父サートゥルナーリア)の上がり3ハロン34秒6は断然最速。前半控える策を取り、先行タイプに苦しいペースが味方したのは確かだが、これで3戦連続して上がり最速の切れは光った。ここまですべてマイル戦に出走だが、ティラトーレと同様、距離延長は大丈夫と思えた。

 4着マイスターヴェルク(父ドレフォン)はレース前から気負い気味。懸命になだめて一旦下げたT.マーカンド騎手の絶妙の騎乗もあって、2着とは差のない4着に押し上げたが、今回はここまでが精いっぱいだった。この馬はマイラータイプだろう。

 このマイスターヴェルクから3馬身も差がついてしまった5着以下の各馬は、勝ったエリカエクスプレスとは6馬身以上も離されてしまった計算。まだキャリアの浅い3歳牝馬だけに、厳しすぎたレースの流れ、予測をはるかに上回る勝ち時計など、敗戦にはやむを得ない理由はある。ただし、最優秀2歳牝馬に輝いた阪神JFの勝ち馬アルマヴェローチェ、そして今回のエリカエクスプレスに追いつくには、急速な上昇が求められる目下の力関係が表面化してしまった。

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1948年、長野県出身、早稲田大卒。1973年に日刊競馬に入社。UHFテレビ競馬中継解説者時代から、長年に渡って独自のスタンスと多様な角度からレースを推理し、競馬を語り続ける。netkeiba.com、競馬総合チャンネルでは、土曜メインレース展望(金曜18時)、日曜メインレース展望(土曜18時)、重賞レース回顧(月曜18時)の執筆を担当。

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