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21年ぶり49回目の受賞に「すごいやろ」 “ジョッキー・小牧太”を象徴する偉業とは?

  • 2025年04月15日(火) 18時01分
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太論

▲先週は兄弟タッグで2勝を挙げた小牧太騎手(撮影:稲葉訓也)


先週は、兄弟タッグで2勝をマーク。そのうちのひとつが4月8日のメインレースで、「初めて毅と表彰台で並んだ」という記念すべき1勝となりました。また、先週は追い比べを制しての勝利が多かったのも印象的で、小牧騎手の勝負強さが光った一方、勝つには追い比べにせざるを得ないやっかいな馬もいるそうで…。

そして、コラムの最後には“ジョッキー・小牧太”のすごさがわかる、うれしい報告が。お楽しみに!

(取材・構成=不破由妃子)

兄弟タッグで初の表彰台に


──先週は、弟の毅さんとのコンビで2勝をマーク。4月8日にはメインレース(そのたんお誕生日記念・B1・ダ1400m)を勝ち、兄弟揃って表彰式へ。素敵な光景でした。

小牧 毅と表彰式で並んだのは、先週が初めてだったらしいで。なんせウインディーパレスで勝てたのがよかった。やっぱり、あれぐらい走るんやね。前回が走らなすぎた(3月11日・B2一・勝ち馬から1秒6差の2着)。

──最後は2着馬を突き放して3馬身差。力が違いましたね。

小牧 前回と違って、今回は動きに余裕があったよ。馬主の小林さんもきてくれていて、喜んでくれたわ。毅と表彰台に立てたのもそうやし、よかったよ、あの馬で勝てて。次の日のオーシンエンジェル(蟇浦7ハロンC3一・ダ1400m・4番人気1着)は、勝つまではどうかなと思っていたなかでの1勝やったね。毅も喜んでたわ。

──兄弟タッグでの勝利は、なんか温かい気持ちになる。いくらでも見たいです。4月10日は、7Rのマジーク(C1二・ダ1400m)と8R(C2・ダ1700m)のラキアレクサンダーで2勝。どちらも追い比べを制しての勝利で、見応えがありました。

小牧 マジークはまだ体がちゃんとできていないけど、走るよ、あの馬。あんまり調教をしなくても走る。前回は3月頭に使って勝ったんやけど、僕の考えで少し長めに休んでもらってね。1カ月間隔が空いて、まだ体もできていないなかで、あれだけ走るんやから。これからが楽しみですわ。あのレース、ほかにもようけ乗り馬がおってね。

──ああ、中央から園田に転入後、ずっと小牧さんが乗っていたダイゴリュウジンとか。

小牧 そうそう。でも、マジークは僕から厩舎サイドに休ませてとお願いしたもんやから、ここはもう決めてた。正直、ダイゴリュウジンのほうが強いかなぁとも思ったんやけど、思った以上にしっかり走ってくれたね。勝ててよかったです。

──ラキアレクサンダーは、直線でいったん2着馬に前に出られながらも、しぶとく盛り返したレースでしたね。

小牧 あの馬ね、先頭に立つとやめるんですわ。中央で4回も2着にきている馬から、力は間違いなくあるんやけど、とにかく先頭に立ちたくない。だから2着4回やねん。

── 一番勝たせるのが難しいタイプ。

小牧 そうやねん。今回も先頭に立った瞬間、完全にやめてましたやん。でも、2着馬にいったんかわされたもんやから、またやる気になった。

──力があるから、いったんは先頭に立つところまで行くけど、立ったら立ったで頑張るのをやめてしまう。騎手泣かせの馬ですねぇ。

小牧 JRAで2着、3着まではいくけど、結局勝ち切れなくて園田に転入してきたような馬は、そういう馬ばっかりやで。本当に多い。だから、園田にきても簡単には勝たれへんねん。力はあるのにねぇ。

──僅差で負けるとジョッキーのせいにされがちですけど、馬自身の意思で頑張るのをやめてしまうわけですから、どうしようもできない…。

小牧 この前のラキアレクサンダーは、うまいこといったんかわされる展開になったから勝てたけど、毎回そういう展開になるわけじゃないからね。能検(能力検査)でも全然やったもん。自分からは、まったく行こうとしない。

──そういうタイプの馬って、いずれは最後まで頑張れるようになるものなんですか?

小牧 勝つことを覚えたら、だんだんよくなってくるんじゃないかな。もともと力がある馬が多いから、そうなったら楽しみになるんやけどね。

──最後にファンからの質問をひとつ。「園田の調教はレースコースのみですが、小牧さんは馬によってどういう工夫をしていますか? コースにバリエーションがないなかでも、馬が変わったことを実感することはありますか?」。

小牧 その馬に合わせて、いろんな調教をしてるよ。それが楽しいところやねん。具体的な工夫というよりも、今日は1周でやめようとか、速歩(はやあし)のみにしておこうとか、運動だけにしておこうとか。距離も時計もそうやし、自分の感覚で決めている感じやね。

──コースは1種類ですが、メニュー自体は数限りなく考えられますものね。

小牧 そう、やりようはいくらでもあるから。もちろん、よくなってきたな、今回はダメやなとか、馬の変化もわかる。自分がレースで乗る馬ばかりだし、調教も全部任せてもらっているからね。楽しんで乗れてるわ。そうそう、最後にひとつ、報告があるんやけど。

──うれしい報告ですか?

小牧 そうです。園田で年に何度か発表があるんやけど、今年1月から3月の最優秀騎手賞に選ばれて。なんと、21年ぶり49回目。21年ぶりやで。すごいやろ?

──21年の時を経てというのが、そのすごさを物語りますね。

小牧 なんかうれしくてねぇ。この『太論』が更新される頃にはもう終わってしまっているんやけど、明日、ウイナーズサークルでその表彰式があります。次にまた獲れることがあったら早めにアナウンスするので、50回目のMVPの表彰式は、ぜひみなさん見にきてください。

(文中敬称略)
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

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