都議会議員選挙の選挙カーがうるさくて仕事にならないので、久しぶりに国会図書館に行ってきた。今はネットで閲覧できるデータベースも増えて便利になったのだが、現物やマイクロフィルムなどを見るしかない資料もかなりある。
調べ物のテーマは1940年から42年にかけて起きた(と思われる)2つの船舶事故だった。どちらも、「優駿」に連載しているノンフィクションノベルに関するものだ。ひとつは、汽船会社に勤めていた人の自費出版のような書籍で確認できた。ただし、該当する事故とは違うことがわかった、という意味での確認だった。
もうひとつの事故については、地方紙のマイクロフィルムで記事を見つけた。しかし、活字が潰れていて、見出し以外は読めない部分が多い。仕事場に戻ってから解読しようと、1面をA3の紙2枚に分けてコピーしてもらったのだが、余計に読みづらくて参った。またマイクロフィルムを見直すしかなさそうだ。
翌日、選挙公報が届いたので、期日前投票に行った。
今も、仕事中や勉強中の人がいる街中で、選挙カーは大騒ぎである。私と同じ「あきひろ」という名の候補者がいる(字は異なる)のだが、その選挙カーががなり立てる「ヒーロー、ヒーロー、アキヒーロー」というおばちゃんの声以上に神経を逆撫でするものをすぐには思いつかない。大人という自覚があるのなら、少しでも人に迷惑をかけない方法でやってもらいたい。
国会図書館に話を戻す。最近知って驚いたのは、「サラブレッド血統書」の第1巻(1941年発行)から第16巻(2000年発行)までを、ネットの「国立国会図書館サーチ」で閲覧できるということだ。利用者登録が必要だが、それも自分のパソコンでできてしまう。「サラブレッド血統書」のあるところまで行く必要がないことに加え、ビューアをひらいて読むとき、「全文検索」のウインドウにキーワードを入れて検索すると、接写(コピー?)したページの活字であるにもかかわらず、即座に見つけてくれるのだ。
なぜか第2巻はデジタル化されておらず、図書館のマイクロフィルムを見るしかないのだが、例えば、第3巻のビューアで「クリフジ」で検索すると、2つヒットする。どちらも索引で「クリフジ(年藤)……94」となっている。それならと「繁殖牝馬繁殖成績(実際は一部旧字)」の94ページを見ると、そこに「年藤(クリフジ)」の説明があった。生年月日や毛色、血統、何年にどの種牡馬を付けて仔馬が生まれたかどうかが記されている。つまり、ビューアの検索機能では94ページの「クリフジ」という文字を拾いそこねているのだが、それは前述したように、紙に印刷された文字から見つけようとしているわけだから、ときどきあることなのだろう。
本稿を読んでくれている人にとっては言わずもがなかもしれないが、クリフジは前田長吉とのコンビで1943年の日本ダービー、オークス、菊花賞の「変則三冠」を無敗で制した歴史的女傑である。
クリフジのプロフィールは血統書の見開きの左ページの一番上に掲載されており、右ページの一番上には廣澤牧場の豊城が載っている。1954年の中山大障害(春)を勝ったギンザクラの母だ。ならばと「廣澤」で検索すると、一気に10件もヒットした。このやり方をもっと早く知っていれば、効率よく、見落としも少なく、廣澤牧場の生産馬を見つけられたかもしれない。
ひょっとしたら、明治時代にオーストラリアから輸入され、血統書(前出の「サラブレッド血統書」ではなく、その馬のプロフィールを記した書類のこと)がなかったため「サラ系」とされた名牝ミラについても、もっと上手く調べられたのではないか。そう思って「ミラ」「馬」で検索したら、1万2322件も出てきた。一番上は「桂太の桂馬 [2] (集英社みらい文庫)」だ。確かに「馬」と「みら」が入っている。このあたりが難しいところだが、トキノミノルのように、ほかの何かと重なることのない馬名なら、この検索機能を生かすことができそうだ。
利用者登録をしてネットで閲覧できる国会図書館のデジタルコレクションには、「日本ダービー25年史」と「日本ダービー50年史」もある。検索してピンポイントで目的のページに飛ぶわけだが、見るのは誌面の接写(コピー?)なので、私が血統書で豊城を見つけたような、アナログ的な発見もあって面白い。
ここ数日で急に暑くなった。みなさんも、こまめな水分補給など熱中症対策をしっかりして、ご自愛ください。