
▲“大役”を務めた小牧騎手は今週も大忙し(撮影:稲葉訓也)
既報の通り、先週は月曜日から1泊で那須の地方競馬教養センターへ赴いた小牧騎手。講師を務める傍ら、教官たちとの親睦会に温泉三昧と素敵な時間を過ごせたそうですが、早朝の散歩では思わぬピンチも!?
今週の『太論』では、先週のレース回顧や楽しみな2歳馬についても言及。また、ファンからの質問に答える形で、岩田康誠騎手の技術についても語ってくれました。
(取材・構成=不破由妃子)
那須の教養センターで一日講師に! 「長く乗り続けて」と励まされ…
──地方競馬教養センターでの一日講師、お疲れさまでした。大役でしたが、楽しめましたか?
小牧 うん。大浴場にいつでも入れるから、温泉ばっかり浸かってたわ(笑)。那須塩原の温泉はちょっと熱めで、いいお湯やね。
──着いた日の夜は、懇親会という名の飲み会で。
小牧 みんなで近くの中華料理屋さんに行きました。あっちこっちからいろんな質問が飛んできて、みんな僕の話に興味津々やったわ。
──ミスターピンクこと内田利雄さんはお元気でしたか?
小牧 まだあんまり教官業務に慣れていないらしく、手探り状態みたい。でも元気でしたよ。あとは、僕が新人の頃に園田で乗っていた奥村さんや、上山でジョッキーをしていた江川くんも教養センターの教官でね。いろんな話ができて楽しかったわ。
──JRAもそうですが、引退後に教官になるというのも大事なセカンドキャリアのひとつですよね。小牧さんも誘われませんでしたか?
小牧 いやいや(苦笑)。逆にみんなから「長く乗り続けてくださいね」って言われたわ。翌朝は早く目が開いたから散歩に出掛けたんやけど、「そういえば昨日、那須塩原に熊が出たっていうニュースを見たな」と急に思い出して…。
──ヤバッ!
小牧 散歩してる場合ちゃうわと思って、一目散に帰ったわ(笑)。
──ご無事で何よりです(笑)。
小牧 ホンマやで(苦笑)。その日は暑いなか、3頭に乗りました。1頭目は、生徒たちが見学するなかで追い切りに乗って、あとの2頭は一緒にレースをして。当然みんなまだまだやから僕も気を付けて乗ったけど、彼らからは必死さが伝わってきて、頑張ってほしいなと思ったよ。
──火曜日の夜に園田に戻って、翌朝はいつも通りに調教をこなし、あの日は上限の8鞍に騎乗。さすがにしんどかったのでは?
小牧 いや、月曜日に一緒に飲んだ教官たちが「忙しいのにきてもらって悪いなぁ」って心配してくれていたから、きっちり乗って勝っとかなアカンなと思って、逆に気持ちが入りました。弟の厩舎のビッグリヴァーサルもようやく勝てたし、あの日は全体的にいいレースができたと思う。
──ビッグリヴァーサルは、昨年9月以来の勝利でしたね。
小牧 そうやね。抜け出すとやめてしまう馬やから、勝つのは難しいかなぁと思ってたんやけど、最後は3頭が競り合う形になってね。あの展開になったのがよかったんかな。あの馬もガンバルフトシとかの伊藤永二郎さんの馬やからね。勝ててよかったわ。そういえば今度、弟の厩舎からゴーゴーツヨシっていう2歳馬がデビューするよ。
──馬主さんは伊藤さん?
小牧 いや、ベラジオ関連の馬主さんなんやけど、ちょっと楽しみがありそうな馬やで。
──ガンバルフトシがいて、ゴーゴーツヨシがいて。なんか愛を感じますね。では、ファンからの質問をひとつ。「以前コラムで『康誠も最近はいい乗り方をしているよね。一時期に比べると全然違う』とおっしゃっていましたが、ぜひ太さんに岩田騎手の技術を解説していただきたいです」。
小牧 昔からやけど、インで辛抱して、直線は馬込みを割ってきて…みたいなレースが上手やね。あとは、長手綱やから、引っ掛かっているように見えても、ちゃんと脚が溜まってる。それが彼の乗り方というか、技術なんちゃうかな。

▲岩田康誠騎手は今年、マイラーズCを制覇(c)netkeiba
──あとは、膝のリズムが独特と言いますか、反動を吸収しているような柔らかさを感じます。
小牧 そうそう、昔から彼は柔らかいから。一時期はちょっと心配したけど、最近は以前よりいい馬が回ってきているし、康誠らしい騎乗が増えていると思う。結果が出るにつれ、気持ちも乗ってきてるんちゃうかな。
──さて、先週はハードな1週間でしたが、今週はいつも通りですか?
小牧 いや、日曜日は川原(正一騎手)さんと一緒に佐賀に乗りにいきます。たぶん2鞍くらいしか乗らんけど、永野猛蔵に会ったら今度こそ僕のほうから声を掛けてみるわ。
(文中敬称略)